2020 Fiscal Year Research-status Report
音信号教示によるシナジーの変容の分析とそのトレーニングへの応用
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20K19488
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
松本 賢太 東京理科大学, 工学部機械工学科, 助教 (50843364)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 運動教示 / シナジー / 音信号 / FPGA / リズム運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、運動制御に関わる「シナジー」という神経生理学の知見とトレーニング理論とを結びつけ、巧みなシナジーを獲得する方法を明らかにすることである。そのために、「①音信号による教示訓練を実施したときにシナジーがどのように変化するのかを明らかにし、運動教示とシナジーの関係性を実験的に示す.②熟練者のリズムを教示することで、シナジーにどのような変容を及ぼすかを明らかにし、効果的な運動学習法を提案する.」という流れで研究を進める。本年度においては、①の内容を実施した。具体的には「Ⅰ 実験装置(ハードウェア・ソフトウェア)の開発」および「Ⅱ 音信号による教示訓練の実験(継続中)」を実施した。以下、その詳細を説明する。
Ⅰ 実験装置(ハードウェア・ソフトウェア)の開発:音信号による教示訓練を実施するために、音響設備を含めた実験装置を開発した。具体的には、従来の設備「モーションキャプチャシステムや慣性センサシステム、フォースプレート」に加え、スピーカシステム(アンプおよびスピーカ)およびField Programmable Gate Array(FPGA)を用いたパルス信号発生装置と、各システムを連携させる同期装置を開発した。加えて、システムを制御するソフトウェアをMATLABにより開発した。
Ⅱ 音信号による教示訓練の実験(継続中):Ⅰで開発した装置を用いて、音信号の教示訓練によるシナジーの変容を調査する。具体的には、1Hz~5Hzのパルス音を被検対象者に教示し、その音に合わせてリズム運動(足踏み運動やダンスの動作)をする。この訓練を、週2回1か月間継続して行い、その結果に基づき、運動教示とシナジーの関係性を実験的に示していく。なお、実験実施に先駆け、東京理科大学に設置された「人を対象とする医学系研究に係る倫理審査委員会」の承認を得た(承認番号:20026)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今般の新型コロナウイルス感染症の影響により、実験開始に遅れが生じたため、進捗はやや遅れている。なお、本年度においては、「Ⅰ 実験装置(ハードウェア・ソフトウェア)の開発」と「Ⅱ 音信号による教示訓練の実験」を実施予定であり、各進捗は各々以下となる。 「Ⅰ 実験装置(ハードウェア・ソフトウェア)の開発」(完了):実験が実施できない期間において、実験装置の開発に充て、「パルス音生成装置」および「システムの同期装置」を制作し、予定通り装置開発は完了している。加えて、実験に要する装置を制御するために、MATLABにより制御ソフトウェアを開発し、実験をより円滑に進められるように工夫した。
「Ⅱ 音信号による教示訓練の実験」(継続中):新型コロナウイルス感染症対策を含めて実験計画を再考し、必要な対策措置(実験参加者の体温管理や行動履歴の確認、消毒や換気)を実施プロトコルに加えて、実験を実施する事とした。また、人を対象として実験を実施する事から、実験実施に先駆け、東京理科大学に設置された「人を対象とする医学系研究に係る倫理審査委員会」の承認を得た(承認番号:20026)。本実験は本年度中に完了する予定であったが継続しており、現状では予定の半数の実験が終了している。
以上より、「Ⅱ 音信号による教示訓練の実験」が継続中であることから、進捗は遅れているものの、実験遂行が見込めることから、進捗状況は「やや遅れている」とする。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、継続中の実験が終了次第成果をまとめ、音信号教示においてシナジーがどのように変容するのか、関係性を明らかにしていく。加えて、それらの知見を踏まえて、スポーツ動作における教示訓練を実施していく。具体的には、熟練者の動作を計測し、その動作から特徴的なリズムを抽出し、そのリズムを非熟練者に教示する事の効果を調査していく。
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Causes of Carryover |
本年度において遂行する予定であった実験に遅れが生じたことに伴い、被験対象者に支払う謝金の支払いにも遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。当該助成金は、継続中の実験が終了次第、被検対象者に謝金として支払う予定である。
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