2022 Fiscal Year Research-status Report
学校現場での仮眠実践は,子どもの睡眠状況を改善させるか?
Project/Area Number |
20K19613
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Research Institution | Teikyo Heisei University |
Principal Investigator |
田邊 弘祐 帝京平成大学, 人文社会学部, 助教 (00847402)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 子ども / 高校生 / 仮眠 / 仮眠欲求 / 昼寝 / 睡眠 / 教育生理学 / 学校保健学 |
Outline of Annual Research Achievements |
各年度の研究計画は、令和2年度:予備調査、令和3年度:短期的な仮眠の効果検証、令和4年度:長期的な仮眠の効果検証である。3年目である令和4年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた学校現場での仮眠の取り組みを行うことができなかった。そのため、子どもの睡眠状況と仮眠に対する意識の実態を調査した。対象は、機縁法にて協力の得られた1都1府5県(埼玉・千葉・神奈川・福井・岐阜)の高等学校8校に在籍する高校1・2年生の生徒5000名であった。分析では、調査への同意が得られなかった者、性別でその他と回答した者を除く4833名(男子2733名、女子2100名)のデータ(96.6%)を使用した。仮眠欲求については、「学校のお昼休みの時間に、仮眠ができる機会や環境があったら、仮眠したいと思いますか?」の設問に対して、「はい・いいえ」での回答が求められた。その後、「なぜ、仮眠したい(または、したくない)と思いましたか?」の理由についても尋ねた。仮眠したい/したくないと思った生徒は、それぞれ男子1900名(71.8%)/745名(28.2%)、女子1553名(75.5%)/503名(24.5%)であった。また、仮眠したいと思った理由で最も多かった回答は、男女ともに「午後の授業で眠くなるから」1002名(51.0%)/968名(61.1%)であり、仮眠したくないと思った理由で最も多かった回答は、男女ともに「友達とお話したい(もしくは、遊びたい)から」337名(50.5%)/263名(52.1%)であることも確認できた。以上の結果から、高校生の仮眠欲求はあるものの、休み時間に友達とコミュニケーションをとりたいと考える生徒に対し、仮眠する・しないを自由に選択することができるような配慮が必要であるとの結論に至った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
事前に研究協力の承諾を得ていた学校現場での仮眠の効果検証を実施することができなかったものの、子どもの仮眠に対する意識の実態を大規模に調査することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
子どもの仮眠に対する意識の実態調査の結果から、高校生における仮眠欲求はあることが明らかにされた。この結果を基に、令和5年度は当初予定していた現場での実践研究を提案していく予定である。その際に、異なる年度で実施予定であった実践研究(令和3年度:短期的な仮眠の効果検証、令和4年度:長期的な仮眠の効果検証)を同一年度で実施することが可能か否かについても検討していく。なお、子どもの仮眠に対する意識の実態調査については、論文化に努める予定である。
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Causes of Carryover |
令和4年度は、新型コロナウイルスの影響により、予定していた学校現場での実践研究を行うことができなかった。そのため、当該研究を遂行するために必要な旅費や調査補助の人件費等が次年度に見送られた。また、質問紙調査の結果については論文化を進めていき、その経費も使用する予定である。
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