2021 Fiscal Year Research-status Report
Is the exercise-induced browning of adipose tissue in human?
Project/Area Number |
20K19721
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
小川 まどか 京都産業大学, 現代社会学部, 助教 (50847035)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | MRI / 脂肪組織 / 褐色化 / 寒冷 / 拡散テンソルイメージング / T2* |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,磁気共鳴(MR)画像による褐色・ベージュ脂肪の定量方法とin vitro実験モデルを用い,運動による脂肪の褐色化とその機序を明らかにすることを目的としている.今年度は,マウスから摘出した鼠径部脂肪および褐色脂肪におけるMR画像(T2*および拡散テンソルイメージング)の特徴を9.4T MR装置で調査した.マウスは,寒冷下で飼育した寒冷群と室温下で飼育した対照群に分けられた.飼育後,解剖を実施し,鼠径部脂肪および褐色脂肪を摘出した.その後,摘出した組織を対象に,MR画像の撮影および画像解析を実施した.その結果,対照群と比較して,寒冷群の鼠径部脂肪のT2*は低値を示した.さらに,対照群と比較し,寒冷群の鼠径部脂肪における拡散指標の固有ベクトル(e3)は有意に高値を示した.T2*値において,対照群の鼠径部脂肪,褐色脂肪,寒冷群の鼠径部脂肪間での比較をおこなったところ,脂肪組織間で有意な差はみられなかった.一方,固有ベクトル(e3)の脂肪組織間での比較では,対照群の鼠径部脂肪や褐色脂肪の値と比べ,寒冷群の鼠径部脂肪のe3は有意に高値を示した.これらの結果から,寒冷曝露により褐色化した脂肪では,褐色脂肪と同程度のT2*値と固有ベクトル(e3)で高値を示すという特徴が確認された.T2*は鉄含有率を示す指標である.褐色脂肪細胞や褐色化した脂肪細胞(ベージュ脂肪細胞)内には,ミトコンドリアが多く存在する.ミトコンドリアの働きに鉄は必須であり,寒冷後の鼠径部脂肪において,T2*が低値を示したと推察される.一方,拡散指標は水分子の拡散状況を示し,細胞の構造や質量を反映する.我々が確認した脂肪組織間の固有ベクトル(e3)の差異は,脂肪細胞の形態的な特徴や脂質の構成,細胞内の密度などを反映していると推察されるが,その点については更なる検討が必要な状況である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスの鼠径部脂肪において,脂肪の褐色化が確認されているが,これまでにヒトでの脂肪の褐色化は生検を実施した場合でも確認できていない.このような状況を踏まえ,先行研究で使用されてきた褐色/ベージュ脂肪のMR撮像を実施しても,運動による脂肪の褐色化を捉えることは不可能だと判断した.そこで我々は,マウスを対象に,脂肪の褐色化を捉える撮像方法を確立することへ研究計画を変更した.既に,マウスから摘出した脂肪組織を対象にMR画像の撮影を行い,白色脂肪や褐色脂肪ではみられない,褐色化した脂肪でのみみられるMRIの特徴を掴んだ.しかしながら,これらの撮像がマウスやヒトの生体において実施できるか否かは確認できていない.
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Strategy for Future Research Activity |
マウスなどの実験動物において,脂肪の褐色化は鼠径部脂肪などで点在してみられることが明らかにされている.しかしながら,これまでまでヒトにおける脂肪の褐色化は生検によっても確認されていない.このような状況を踏まえ,我々は計画を変更し,マウスなどの実験動物を対象に,脂肪の褐色化を捉える撮像方法を確立することへ取り組む.まずは,マウスを対象とし,先行研究で用いられている寒冷暴露やβ3アドレナリン刺激薬の投与によって褐色化が生じた脂肪を作成する.その後,白色脂肪,褐色脂肪,褐色化が生じた脂肪を対象にMR画像の特徴を明らかにし,マウスやヒトの生体においても同様の評価が可能であるかを検証する.撮像方法が確立した後,その方法を用いて,運動による脂肪の褐色化がヒトでみられるか否かを検討していく.
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Causes of Carryover |
COVID19の影響により,ヒトを対象とした実験計画に変更が生じた.そのため,2022年度にヒトを対象とした実験を実施する.
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Research Products
(4 results)