2021 Fiscal Year Research-status Report
光の空間的伝播に基づく生体の表面下構造・生体情報の解析
Project/Area Number |
20K19825
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩口 尭史 九州大学, システム情報科学研究院, 助教 (50845526)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 光伝播計測 / 陰影解析 / 深層学習による計測パターン最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は,光学現象に基づく対象物体のa.表面とb.表層下の3次元構造の計測・解析に取り組んだ. a. 従来内視鏡等に利用されてきたアクティブステレオ法に基づくワンショットパターンによるリアルタイム計測における低解像度の形状しか得られないという問題に取り組み,物体の反射特性を考慮した陰影解析により高解像度の形状を復元する手法を提案した. 陰影解析には深層学習を用いるが学習に必要な大量の形状データが得られにくいという問題があったため,コンピュータグラフィックスにより合成データセットを作成した.また,実際の計測環境と合成データの差異に対処するためドメイン適応を行うことで形状の復元精度を向上した.この手法は生体のように拡散反射の仮定が成り立たない材質の計測への応用が期待できる. b. 皮下構造の単純化したモデルである1層の拡散層下の物体形状計測に取り組んだ.従来手法では拡散層下の物体の小領域に対しインパルス光を照射した際に拡散層に到達する反射光を解析することで,形状の再構成が行われていた.この手法では照射領域が小さいほど詳細な形状が得られるが,広い領域を網羅するためには膨大な回数の計測が必要であった.そこで,構造化光を照射し多重化された反射光を深層学習により解析することで計測回数の大幅に削減する手法を提案した.この手法は反射光の性質に応じて最適な構造化光のパターンを生成するため,複雑な特性を持つ生体組織への広い応用が期待できる. a.の成果は国際会議で1件,国内会議で1件の発表を行い,b.の成果は国際会議で1件発表を行いBest paper awardを受賞するなど高い評価を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は,生体組織の光伝播特性を明らかにすること,計測手法の考案を目標としており,実際に表面,表層下それぞれの計測・解析手法を研究成果として3件の発表を行った. これらの研究では生体を単純化したモデルを用いているものの基礎的な手法については確立したといえる. また,前年度取り組んだ屈折現象の解析などについても2件発表を行い一定の評価を得ており,全体としては概ね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は,3次元空間における散乱現象の解析手法を中心に取り組む予定である. 令和3年度では薄い層構造を仮定していたが,実際の生体を解析するためには3次元構造を取り扱う必要がある. この問題設定は物体形状に大きく依存する解析が困難であるが,近年ではコンピュータグラフィックスによる散乱を含むシミュレーションと深層学習を組み合わせるアプローチが提案されており,既存手法の調査,および,応用可能性の検討が今後の課題である.
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Causes of Carryover |
参加予定だった国際学会がオンライン開催されたため,予定より旅費の支出が減額されたため.これらの予算はカメラなどの計測装置,計算機の購入に充てる.
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Research Products
(5 results)