2021 Fiscal Year Research-status Report
1細胞空間トランスクリプトームによる細胞内と細胞間の統合ネットワーク推定手法開発
Project/Area Number |
20K19915
|
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
土屋 貴穂 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70853167)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 空間トランスクリプトーム / 細胞間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
1細胞解像度のRNA sequence計測技術、及び、解析技術が発展・普及し、高変動性遺伝子(HVGs: Highly Variable Genes)の発現変動もまた細胞機能と関連しその重要性と供に報告されてきた。そして、これら1細胞解像度のトランスクリプトームデータから細胞間相互作用を推定する解析手法が提案されてきた。一方で、これら解析手法においては、空間座標を用いておらず偽陽性の問題を含有している、あるいは、HVGsに着目していないなどの課題があった。 近年、細胞の空間座標も同時に取得する1細胞空間トランスクリプトームデータが急速に発展し、細胞間相互作用を介したHVGsの空間的発現制御機構が解明されると期待されている。しかしながら、未だ解析手法は提案されておらず、従って未解明である。 そこで、解析手法CCPLS(Cell-Cell communication analysis by Partial Least Square regression modeling)を提案した。CCPLSでは近傍の複数の細胞型によるHVGsの発現制御を細胞型ごとに推定する。近傍の細胞型の存在度合いを説明変数に、HVGsの発現量を説明変数にしてPLS回帰を行い、回帰係数を細胞間相互作用の向きと程度の指標として出力する。近傍の複数の細胞型によってHVGsの発現量が制御される機構を多入力多出力システムとして推定することも特徴である。シミュレーションデータを用いた評価実験によりCCPLSが細胞間相互作用を精度高く推定することを示した。2つの実データに対した適用例からは、CCPLSが生物学的な洞察を抽出することを示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞間相互作用を抽出する解析ツールを当初の構想通り作成できたため。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、細胞間相互作用に関与する分子経路をより詳細に推定する機能を追加する。
|
Causes of Carryover |
コロナウイルス感染拡大に伴い、当初計上していた旅費の使用額が減ったことが主な理由である。次年度使用額は、研究課題遂行に必要な計算機の購入代や有料計算機の使用代などに用いる計画である。
|
Research Products
(4 results)