2022 Fiscal Year Research-status Report
The Formative Process of Various Information Societies: Focus on the Popularization of Video Games in Bhutan
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20K20134
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
藤原 整 昭和女子大学, 人間社会学部, 講師 (60755750)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ブータン / 情報社会 / ビデオゲーム / モバイルゲーム / 地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ブータンにおけるビデオゲームの普及に焦点を当て、ブータンという血縁・地縁が強く社縁的な繋がりが乏しい地域において、ビデオゲームという情報通信技術の発展により生まれた遊びを通じて、どのようなネットワーク社会が生成され得るのか、その過程を明らかにしていくことを目的としている。 本研究の開始後、2020年度、2021年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の国際的流行により海外渡航を伴う現地調査は不可能であったため、現地協力者の助力の下、質問紙とオンラインビデオ会議システムを利用した半構造化インタビューを実施してきた。2022年度は、感染状況に留意しながらではあるものの海外渡航が可能となり、2022年9月に約3年ぶりとなる現地訪問が実現した。現地では、ブータン王立大学シェラブツェ・カレッジ、ジグメナムゲル工科カレッジの2校の協力を得て、教員・学生に対する質問紙調査、非構造化インタビュー、および、これまでの調査中間報告を実施した。 また、上記現地調査に先駆けて、2022年6月には、"What Does It Mean to Play a Video Game in Bhutan?"と題する論稿が公開された。これは、ビデオゲーム史、および、ビデオゲーム研究(Game Studies)の歴史を概観しながら、ブータンというこれまで世界にゲーム産業において未開の土地であった場所において、ビデオゲームが広くプレイされるようになった経緯とその意義を問うものであり、2021年8月に実施した研究発表内容を論文として書き起こしたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
「研究実績の概要」欄においても述べた通り、2022年度は本調査開始後はじめての現地調査を実施することができたものの、当初は2020年度に実施する予定が大幅にずれ込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は当初予定では本研究の最終年度であったが、4回(予備調査1回、本調査3回)予定していた現地調査のうち実施できたのは一度のみである。現地調査の代替として、2021年度以来、遠隔での現地調査を試みてきたが、特にZoom等のビデオ会議機能を用いたインタビュー調査では、調査対象者との日常的な会話のなかから真に重要な調査データを引き出すような、現地調査特有の雰囲気をつくり出すことは難しく、さらなる現地調査は不可欠である。 2023年度は、研究期間を1年間延長し、最低一度、可能であれば二度の現地調査を行いたいと考えている。ブータン人のコアゲーマーを特定し、彼らに対する非構造化インタビューを通して、「ゲームをプレイするきっかけ」「プレイ体験の価値」「他のプレイヤーとの出会い」「プレイヤー間の対話」「プレイヤーコミュニティへの参加」「プレイヤーを取り巻く環境」といった語りを引き出していく。また、ブータンにおけるゲームプレイ環境とその形成過程の観察、非ゲームプレイヤーに対するインタビュー調査も併せて実施し、ビデオゲームのプレイヤーコミュニティがどのように形成され、そして、当該ゲームに対する批評や言説がどのように変遷していったのか、そのダイナミズムを明らかにしていく。 なお、2021年度のオンライン調査結果、2022年度の現地調査結果を取りまとめた上で、2023年度の調査結果を加えて、2023年度中に最低1回の学会報告を予定している。
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Causes of Carryover |
ここまで述べてきた通り、新型コロナウイルス感染症の世界的流行を受けて、現地調査をこれまで一度しか実施することができておらず、旅費として見積もっていた分が次年度使用額の大半を占めている。 2023年度は二度の現地調査を計画しているが、パンデミック以後の世界的な航空券代の高騰、および、ブータンにおける大幅な政策変更に伴う現地滞在費の増大の影響を受け、1回あたりの旅費の高騰が見込まれる。そのため、現地渡航費2回分で、おおよそ次年度使用額を使い切る計画である。
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Research Products
(1 results)