2018 Fiscal Year Annual Research Report
植物の生物フォトンを用いた環境と人をつなぐ新たなメディア開発の研究
Project/Area Number |
17H06181
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
保科 豊巳 東京藝術大学, 美術学部, 教授 (40257150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安藤 孝浩 東京藝術大学, 美術学部, 講師 (60422515)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 芸術 / 環境 / 植物 / コミュニケーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物の生体反応において発生する「生物フォトン」を媒体として、人と植物とのリアルタイムな異種間コミュニケーションの実現を目指す。さらに、植物が自然環境に影響を受けて生長する過程を多角的に検証し、芸術作品として視覚化することにより、環境メディアコミュニケーションアートという新たな概念の芸術を開拓する。 平成30年度研究実施計画の目標である3項目、1専門家との研究会、2野外専用計測装置の設置、3地域振興型芸術祭参加を概ね実施することができた。1の研究会は植物関連ではなく平成29年度に製作した環境と人を繋ぐ装置の屋根についてより東洋的な観点を学ぶべくバングラディシュよりアーティストを招聘し研究会を行なった。2の装置は9月、10月の期間限定ではあったが研究地の長野県東御市に仮設し、現地に生息する雑草の根のバイオフォトンを計測した。自然環境下の計測は困難でさらなる装置の工夫や計測装置をアナログ方式に変更の可能性も見えた。3は長野県東御市で開催された天空の芸術祭2018に試作品を発表した。試作品は2の野外計測装置から検出したバイオフォトンを映像化して環境と人を繋ぐ装置(雨の音を聞く小屋)の雨に映すものである。実験結果としては雨と映像とのコラボレーションが芸術的な美しさはあるが、装置的なタイミングが難しく今後の課題も見えた。平成30年度の年度後半に東御市での研究施設の手狭なこともあり一部を千葉県鴨川市に移動し研究地に加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
環境と人を繋ぐ装置(雨の音を聞く小屋)が平成29年度冬の積雪や霜による地盤の変化より若干の傾斜を余儀なくされた。それの修復に時間がかかり計画の進行が若干遅れた。環境と人を繋ぐ装置とバイオフォトンの映像実験で雨のタイミングと映像のタイミングの問題がありその調整が難しく時間を費やした。また、植物が環境ストレスや人との物理的な接触などによるバイオフォトンの変化の実験が難航している。微細な変化は見られるものの今後の検証が望まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は人と環境をつなぐ装置に関して東洋的な自然観を検証するために水の循環システムの研究会を行い、さらにバイオフォトンの映像を環境装置に映し出す実験も研究地での芸術祭参加で行った。平成31(令和1年)年度はこれらの結果を元に改良点を検証する。雨に関して芸術的な更なるインパクトを加えるべく無色透明な水を何らかの施しによって変化させた水を利用する事や、環境装置の部材を廃材などを利用して、より自然観を意識したものにして自然に馴染んだ素材を利用し人が自然の風化から感じとる時間を装置に吹き込むことも検証する。これらの工夫を施し芸術性をより一歩深める予定である。研究分担者が講師の任期満了により退職したが、引き続き外部よりバイオフォトンの研究を研究協力者として協力してもらい、環境装置との関係性を検証する。昨年度末から一部の研究を千葉県に移し本年度も継続して長野県と千葉県にて研究を推進してゆく。 さらに、本年度も試作品を芸術祭などの実際の展示にアウトプットし様々な意見をフィードバックしながら芸術性の強度を上げてゆく。
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