2018 Fiscal Year Annual Research Report
文化-ジーン共進化説のミクロ的確認とネットワーク社会学的展開
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17H06193
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
桜井 芳生 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (50264396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤川 学 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (10273062)
尾上 正人 奈良大学, 社会学部, 教授 (90299248)
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Project Period (FY) |
2017-06-30 – 2021-03-31
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Keywords | 遺伝子 / 一塩基多型 / SNP / 社会行動 / 耳垢 / ツイッター |
Outline of Annual Research Achievements |
分析はおもに以下の様な因果図式であった。遺伝子多型の値(ss,sl,ll,の三値)は、生得的に不変とかんがえ、つねに独立変数としてあつかった。 [ジーン(×SES)→ネットワークタイ分析]すなわち、遺伝子の値(と当人の社会経済的変数)が当人のネットタイ形成(具体的には友人形成)に影響をあたえているのか。また、二者間の遺伝子変数の類似がその二者の友人形成を促進するのか。すなわち「(遺伝的)類が、友を呼ぶ」のか、の分析をおもに、ロジスティック回帰分析を利用して分析をこころみた。 [ジーン×ネットタイ×SES→SES 分析]すなわち、第一波第二波第三波の時系列データを収集するので、これを利用する。すなわち、第一波時点におけるジーン・ネットタイ(だれと友人か)・SES(社会経済状態)が、第二波時点の当人のSES(社会経済的状態)ならびにネットタイの変化にどのように影響したのかを分析した。これはおもに第二波のSES ならびにネットタイの一つ一つを従属変数とし、第一波のジーン・ネットタイ・SES を独立変数とする重回帰分析によって解析した。さらに第一波で計測した遺伝子の値、第二波でのネットワーク変数(だれとタイをむすんでいるか。本人のネット中心性の値など)を独立変数とし、第三波のSES ならびにネットワーク変数を従属変数とし、同様の分析をこころみた。 さらに個別の遺伝子の一塩基多型のタイプが被験者の社会行動に影響をあたえていないか、スマートホンアンケートとの同時計測の結果について相関分析を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度においては、協力者さんからの遺伝子試料の収集とスマートホンアンケートによる「同時計測」を実行した。遺伝子試料の提供においては、唾液をいただいた。ニシナやヤマギシらを参考にして、オキシトシン受容体遺伝子の一塩基多型(SNP : Single Nucleotide Polymorphism)の一つ「rs53576」のタイプの解析をまずは目指した。リアルタイムPCR装置(StepOnePlus)で解析を行った。GGホモ、GAヘテロ、AAホモにタイプ判定できた。有意確率5%未満で得られた相関分析の結果、「rs53576」の多型と協力者さんの社会行動に関連がみいだされた。すなわち、AAホモの人ほど、Twitter をする。A傾向(AAホモならびにヘテロ)の人ほど、「自分の家庭を経済的に豊か」とかんがない。A傾向(AAホモならびにヘテロ)の女性(女性のみ)ほど化粧品代が安い。A傾向(AAホモならびにヘテロ)の人ほど耳垢がウェット・タイプである、などである。
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Strategy for Future Research Activity |
以上のように非常に興味深い結果がえられたが、当該年度にえられた件数は十分とはいえなかった。今後は、より多くの試料とアンケートへの回答との同時計測を得られるようにしたい。また、オキシトシン受容体遺伝子の多型判定に成功したが、今後は他の一塩基多型のタイプ判別も試みたい。まずは、ノルアドレナリン受容体遺伝子の多型判定を試みたい。
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Research Products
(4 results)