2019 Fiscal Year Annual Research Report
How sizes of countries affect their governance? : an interdisciplinary
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18H05311
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
田所 昌幸 慶應義塾大学, 法学部(三田), 教授 (10197395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
八槇 博史 東京電機大学, システムデザイン工学部, 教授 (10322166)
秋山 英三 筑波大学, システム情報系, 教授 (40317300)
瀬島 誠 大阪国際大学, 経営経済学部, 教授 (60258093)
江頭 進 小樽商科大学, 商学部, 副学長 (80292077)
藤本 茂 京都外国語大学, 国際貢献学部, 教授 (80319425)
山本 和也 京都産業大学, 国際関係学部, 准教授 (20334237)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 国家の規模 / ガバナンス / Body of Knowledge(BOK) / BOK自動生成システム / 学際的研究モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、国家の規模とガバナンスの理論化に挑戦する。その理由は(1)複合性:国家規模は多要素の組合せで決まる(2)経時性:(1)は歴史的に変化する(3)二次的複雑性:国家のガバナンス構造は、国家間の紐帯を規定すると同時に紐帯により規定される。この三点の解明に従来の社会科学が無力だったからである。これを突破するため、我々の学際的な研究履歴を応用し、Ⅰ政治・経済学の学問的蓄積を踏まえた複雑性を考慮した仮説を提示、Ⅱ仮説のモデル・理論化を支援する関連資料等の蓄積と重要語を複雑な因果関係を反映した一定の構成に沿って自動抽出・配列し可視化するシステムの開発、Ⅲ複雑系科学の手法による計算機実験を実施して起こり得るシナリオを提示、Ⅳ、ⅡとⅢの提示に基づいた理論構築という研究サイクルで実施する。本年度の成果は以下となる。 Ⅰ仮説・Ⅳ理論:規模とガバナンスの複雑性に注目した仮説の提示と理論化。本研究の起点かつ終点となる項目で、前年度解明した国家規模の指標であるGDPと人口、世銀のガバナンス指標に関するクラスター分析を実施し、世界は大きく7つのグループに分類された。G7諸国は概ね同様のグループ、中国は中小の王国に近いグループとなった。 ⅡBody of Knowledge(BOK)自動生成:データベースとBOK作成を自動化するシステムの開発。本研究を支える技術開発項目で、Webスクレイピング技術を組み込んだ情報・資料システムを開発しつつ、BERTを用いた機械学習によるBOK生成基礎システムを構築した。 Ⅲ計算機実験:複雑系科学による計算機実験を実施し起こり得るシナリオを提示。複雑な現象の総合的分析を可能とする手法的核となる項目でⅠ・Ⅱの成果を教師データとし基本的な学習システムを組み込んだ各国の政府や国民などのエージェントを作成し、情報の集中管理と国家のマネジメントの両者に関する計算機実験に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
先ず先の研究項目Ⅰで、研究目的に沿った国家規模を示す指標(GDPと人口)とガバナンスに関するクラスター分析の結果、世界が7つのタイプに分類されることが分かった。その結果、研究項目Ⅲにパイロット仮説を提示し、両者連携の中で本研究が挑む社会科学の隘路を突破し得る可能性を秘めた計算機実験の実施に道を開くことができつつある。またⅠ・Ⅲとの連携の中で、本研究の特色ある技術的挑戦としてのBOKシステムのプロトタイプの構築を終え、分担者八槇の所属機関でその基盤システムが引き続き発展されつつある。これらの取り組みの進捗と成果は、三度の研究合宿を通じて代表者と分担者が密接に連携しつつ共有されている。また、それぞれの研究合宿では分担者以外の研究者を招聘し適宜適切な外部評価も得ている。以上より、文理融合の新しい学際的研究モデルを築いてきた我々の研究履歴が、本研究目的に沿って順調に展開・進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究最大の目的は、古くて新しい社会科学の問題に対して実質的な学際的研究に実績を誇る我々の研究履歴を拡張し新しい研究モデルの開拓に挑戦することにある。今年度の実績を手応えに、最終年度という区切りを超え今後の更なる展開をおおらかに志向するための挑戦を継続する。 このため今年度に続き、前述の研究目的を達成するために設置した四つの研究項目を有機的に連携させた研究戦略に基づく方法と体制で臨む。具体的には、次の通りである。 Ⅰ仮説提示・ⅡBOK自動生成システム構築・Ⅲ計算機実験・Ⅳ理論構築の有機的連携を更に深化させつつ、Ⅰでは国家規模とガバナンス両指標間の相関・因果関係の解明と本研究に沿った仮説の提示を継続する。Ⅱでは(1)Ⅰの理論的仮説をもとに、昨年度開発したシステムをさらに発展させてより精度の高いデータベース作成技術開発を継続する。その上で(2)(1)を用いつつ基礎的なBOK自動生成システムの高度化に引き続き挑戦する。Ⅲでは、I・Ⅱとの連携を深め、より本研究に即した教師データを組み込んだエージェントを開発しつつ、情報の集中管理と国家のマネジメントに関する計算機実験を継続する。これらを総合してⅣ理論構築に挑む。
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Research Products
(12 results)