2018 Fiscal Year Annual Research Report
Influence of genomic imprinting on caste determination in social insects
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18H05372
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松浦 健二 京都大学, 農学研究科, 教授 (40379821)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2024-03-31
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Keywords | シロアリ / 真社会性 / ゲノムインプリンティング / エピジェネティクス / カースト |
Outline of Annual Research Achievements |
個体の遺伝子型は生涯を通じて不変であるが、DNAのメチル化やヒストン修飾などのエピジェネティック修飾は年齢とともに変わることがシロアリを含めた様々な生物で知られている。親の年齢依存的なエピジェネティック修飾が子のカースト決定に影響するという我々の仮説を検証するため、異なる年齢の雌雄を組み合わせ、それらの子のカースト運命を比較した。創設1年目の女王に対して、創設1年目の王と成熟巣由来の王(推定30歳以上)をそれぞれ交配させ、得られた子のカースト運命を比較したところ、前者の交配では雌雄ともにニンフになる個体は現れず、一方後者の交配では雌のニンフになる個体が現れた(P<0.05, フィッシャーの正確確率検定)。また、高齢王に、創設1年目の女王と成熟巣由来の老齢女王を、それぞれ交配させたところ、前者の交配の方が後者に比べてニンフになる雌個体が有意に多かった。これらの結果から、生殖虫の年齢の組み合わせの違いによって子のカースト運命が変わることが明らかになり、遺伝的要因ではなくエピジェネティックな効果がカースト決定に関与していることを直接的に示すものである。。 また、亜社会性の祖先状態から真社会性の生活様式が起源するプロセスにおいてゲノムインプリンティングが不可欠であることを数理シミュレーションにより示すことができた。本モデルはシロアリだけでなく、様々な二倍体生物の真社会性起源に適用できる。一夫一妻の亜社会性生物から真社会性が起源するための必要条件を理論的に示すことが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
子のカースト決定に対する親の年齢の効果について実験的に示すことに成功した。また、ゲノムインプリンティングによる真社会性の起源モデルも当初の予定よりも早く完成させることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
親の年齢によって子のカースト運命が変わることを示すことが出来たので、本年度はその具体的な要因ついて解析を進める。具体的には加齢に伴う雄の精子のメチル化を定量し、子のカースト分化への影響との関連を明らかにする。また、オスの羽アリに対してDNMT3をターゲットとしたRNAiを行い、子のカースト分化に対する効果を調べる。
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Research Products
(11 results)