2022 Fiscal Year Research-status Report
人間中心設計と人類学の対話によるシステム設計思想:HCDを多元化する挑戦的試み
Project/Area Number |
20K20405
|
Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
安藤 昌也 千葉工業大学, 先進工学部, 教授 (70513729)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 泰信 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 教授 (40369864)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 人間中心設計 / 文化人類学 / 人工知能 / システム設計 / 設計思想 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究プロジェクトのまとめに向けた取り組みとして、特に以下の5点について実施した。 【実施事項1】 「HCDと文化人類学の対話研究会」と題して、年度末までに2ヶ月に1回のペースで、合計3回オンラインでの研究会を実施した(第1回2022年9月28日:文化人類学、第2回2022年11月30日:HCD、第3回2023年1月31日:文化人類学)。各回、人類学・HCDそれぞれの識者による基調講演を行ったのち、相対する分野の研究者が指定討論者となって議論を深める形式で実施。毎回80名程度の参加者があった。 【実施事項2】 フィールドワークでは、大手ソフトウェア企業における社内システムの利用状況の調査を行なった。実施の都合上、HCD側が先行して実施した。企業側がすでにリモートワークを主体としているため、オンラインでのインタビューとなったが社歴の多様な12名の社員にインタビューすることができた。今後、文化人類学側が追加で調査を行う予定で現在進行中である。 【実施事項3】 これまでの成果から、さらに発展し“日本らしい”あり方の検討を行なった。その模索の一つとして、東洋哲学や仏教の視点を参考に、使い手と作り手の関係を再考する検討を行い、ヒューマンインタフェースシンポジウムにて対話発表を行なった。また、この対話発表での議論から発展し、新たな科研費の申請につながった(結果は不採択)。 【実施事項4】 これまでの研究成果をシステム設計の考え方に活かす方法を検討するため、主にソフトウェア企業に勤務するシステムエンジニア、UXデザイナーなど11名の参加を得て1泊2日の合宿を行い「作り手の願い」をキーワードに検討会を行なった。 【実施事項5】成果発表として、応用人間工学の国際会議での発表、ヒューマンインタフェース学会論文誌での採録(印刷中)、ヒューマンインタフェースシンポジウムでの発表を行なった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画では今年度をもって、本研究プロジェクトを終了する予定であったが、COVID-19による影響のため延長申請を行うこととした。遅れの原因は、特に初年からの遅れを取り戻すに至っていないことによるもので、今年度冒頭の予定した実施内容はある程度実施できていると考えている。ただし、AI技術者との交流は今年度も実施できていない。この理由は、当該研究領域に適切な関係者との関係が持てていないことによるためであるが、学会発表等を通して協力者を得ていきたい。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の推進方策として、大きく4つを予定する。 【1:HCDと文化人類学とのフィールドワークを通しての気づきの共有】 本研究プロジェクトのベースとなる取り組みであるが、これまで明確に対話した成果を気づきとして共有できていなかった。まとめとして両者のアプローチの共通点と違いについて、改めて整理し関係者が参照できる形で形式知化する予定である。 【2:HCDと文化人類学の対話研究会の継続開催】 今年度スタートした研究会を継続して開催する予定である。ヒューマンインタフェース学会のデザイン思想・哲学専門研究委員会とも連携を図りながら、より内容を対話的にするとともに、参加研究者の裾野を広げていきたいと考えている。 【3:ソフトウェアエンジニアらとの成果を応用する方法に関する検討会】 今年度はプロトタイプ的な形で11名のSEの方と合宿で研究成果の考え方を理解してもらい、システム仕様を考えるワークショップを行なったが、これを継続・発展させる予定である。 【4:成果の取りまとめ】 研究プロジェクトとして延長したので、これまでの成果として書籍等の形式での取りまとめを計画している。
|
Causes of Carryover |
COVID-19の影響により当初計画が初年度より遅れた影響により、延長申請を行い研究を遂行する予定である。使用予定は研究員の雇用、研究会の講師謝礼、Webサイトの維持経費、取りまとめ出版物の印刷費用を予定している。
|
Research Products
(6 results)