2020 Fiscal Year Research-status Report
もの、語り、アート、宗教にみるトラウマ体験の共有と継承:ホロコーストと原爆投下
Project/Area Number |
20K20413
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Professional Institute of International Fashion |
Principal Investigator |
田中 雅一 国際ファッション専門職大学, 国際ファッション学部, 教授 (00188335)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根本 雅也 松山大学, 人文学部, 准教授 (00707383)
直野 章子 京都大学, 人文科学研究所, 准教授 (10404013)
野村 真理 金沢大学, 人間社会研究域, 客員研究員 (20164741)
小田 博志 北海道大学, 文学研究院, 教授 (30333579)
松嶋 健 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 准教授 (40580882)
菅原 祥 京都産業大学, 現代社会学部, 准教授 (80739409)
楊 小平 島根大学, 国際交流センター, 特任講師 (30736260)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | トラウマ / もの / 語り / アート / 宗教 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、4年の期間でもの(遺品など)、語り(ナラティヴ、証言)、アート、宗教の 分野を中心にどの様な形でトラウマ(心的外傷)体験が共有・継承されてきたのか、その阻害要因や問題点は何かを現地での取り組みに焦点を当てて、主としてフィールドワークによる実証的な視点から解明することである。具体的には、第二次世界大戦の最大の悲劇とされるホロコーストや原爆投下などを取り上げる。本研究の挑戦性は、1)精神医療への挑戦:医療実践や言説に還元しないで博物館、ナラティヴ、アート、宗教などの文化・社会 実践とトラウマとの関係に注目することで、人文・社会科学からのトラウマ研究を開拓すること、2)文化人類学への挑戦:ヨーロッパと日本を主たる研究対象とし、歴史的出来事に関わる個人や集団の実践を取り上げ、さらに歴史学者の参加を促すことで、非ヨーロッパ社会を対象としてきた文化人類学の対象地域や研究範囲を開拓・発展させること、3)観光研究への挑戦:個人レベルでトラウマの共有や継承に伴う二次受傷(二次トラウマ)に着目し、これまで看過されてきたダークツーリズムの問題点に注目する、以上の3点である。 今年度は2年目であるが、実質新たな海外調査は不可能であった。しかし、アウシュヴィッツ におけるイスラエル高校生のスタディー・ツアーとカトリック神父たちの宗教実践について田中が論文「開いた傷口に向き合う アウシュヴィッツと犠牲者ナショナリズム」を発表し、また直野が本課題と関係する公開シンポジウム「抑圧されたものの痕跡を求めて/辿って──記憶の存在論と歴史の地平II」を実施し、メンバーが参加した。ズームによる研究会を3回実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は、アウシュヴィッツにおけるホロコーストと広島・長崎における被爆体験が主たる研究対象である。コロナ禍において、ポーランドやその周辺国のホロコースト遺跡で調査を行うことは不可能であった。また、国内においても移動に制限が課され計画通りの調査が不可能であった。ズームによる研究会については予定通り実施できた。
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Strategy for Future Research Activity |
外国での調査は、今年度においてもなお困難と思われる。可能であっても二週間の待機をホテルで強いられることが多く、経済的かつ時間的な制約が大きい。日本での調査を優先して当初の目的を果たすように努力する。海外調査が不可能な場合は、来年度に予算を繰越する。文献資料の収集やズームによる研究会は、引き続き実施する。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で、予定していた海外調査が不可能になったり、国内移動も制限されたため。2021年度はワクチンの普及に伴い、国内外の移動が可能となると推察できる。その際は速やかに調査を実施する。また研究会も通常の対面型に切り替える。研究費を国内外の調査ならびに研究会に使用する。国内については、広島と沖縄を予定している。
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Research Products
(17 results)