2019 Fiscal Year Annual Research Report
走行税課金による道路インフラ維持管理-EV化と車両認証のデジタル時代を迎えて-
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19H05485
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 義明 筑波大学, システム情報系, 教授 (50183760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城所 幸弘 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (90283811)
栗野 盛光 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90732313)
小林 佑輔 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (40581591)
小林 隆史 立正大学, 経済学部, 専任講師 (90466657)
高野 祐一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40602959)
櫻井 一宏 立正大学, 経済学部, 准教授 (20581383)
和田 健太郎 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20706957)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2023-03-31
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Keywords | グラフ理論 / 交通ネットワーク / 受益者負担 / 費用便益分析 / MaaS |
Outline of Annual Research Achievements |
理論研究実績の例として,第一に,橋梁の利用に関する幾何モデルを構築し,利用者と橋梁での課金との関係を理論化した.インフラの提供側(国,県,市)と需要側(多数の市)との対応関係から,管理すべき橋梁の割り付け,フリーライダーの特定などを試みた.第二に,渋滞現象を正しく表現可能で,かつ,きめ細やかな需要管理及び課金施策やITSといった現代的な交通計画評価の理論的基盤となる動的交通ネットワーク均衡の均衡解の安定性と収束性について,動的交通ネットワーク均衡状態のベンチマークとしての適切性,交通ネットワーク流を安定的に運用するためのシステムが備えるべき性質を把握した.第三に,どの2頂点間の距離も元の距離に比べて極端に長くならないように,指定された本数の辺を取り除く問題を定式化し,この問題に対する効率的アルゴリズムを与えた.第四に,カシマスタジアム周辺において道路利用者特定調査を実施した.その調査データに基づき,一過性の渋滞のためのインフラ投資の回避方法を検討した. 一方,実証研究実績の例として,第一に,経済学的に政策の効果を測定するには費用便益分析を行う必要があるため,現実の費用便益分析を国土交通省等の事例を交えて整理した.第二に,グラフのベクトル化手法を用いて車両の走行軌跡データを解析し,タクシーの実車率の予測に適用した.第三に,茨城県による「筑波山渋滞解消協議会」「県立カシマスタジアム周辺渋滞対策協議会」,北海道天塩町ライドシェア事業において,本研究成果を還元した.第四に,産業競争力会議などでの講演で,インフラ維持管理,スマートシティやMaaS推進に貢献した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的は1)移動サービスの課題をデータ分析から明らかにすること,2)走行税課金についてEVシフトとともに理論化すること,3)道路の整備量について理論化すること,4)MaaSに基づいた効果計測を行うことである.DXの加速化を意識しながらそれぞれの目的に沿って研究を進め,雑誌論文としてJapanese Economic Review,Transportation Research Part B: Methodological,都市計画論文集など,研究発表では,INFORMS 2019 Annual Meeting,59th European Congress of the Regional Science Association International,COCNフォーラム2019など国内外で研究発信を行った. 具体的には,データ分析においては,タクシーの実車率データや,渋滞調査などの実データ解析を行った.なお,走行軌跡データの解析の研究成果においては,令和元年度データ解析コンペティションで発表し,日本経営工学会経営情報部門敢闘賞を受賞した.研究情報の発信に関して,第33回応用地域学会研究発表大会にて,て一般公開セッション「モビリティイノベーションの最前線」を実施した. 一方で,コロナ禍の影響を受け,2020年3月に企画していた研究発表会が中止となった.また,オペレーションズ・リサーチ学会での研究発表大会も紙上開催となるなど,研究情報の共有など,次年度に向けての不安材料が発生した.
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Strategy for Future Research Activity |
走行税課金の理論的支柱である受益者負担の原則について,交通活動の透明性を意識して理論化を進める.オフグリッドの検証,道路利用課金については,電柱配置やドローン飛行というより単純な状況でまずはモデル分析を進める.モビリティサービス市場をマッチングとして見た場合のマーケットデザインについて構築を強化する.「グラフの満たすべき条件」および「可能なグラフの操作」として,数学的に自然と思われる設定について実問題への応用可能性を探る.さらに,社会的最適状態を達成するためのマルチモーダルな交通システムの研究,「通行権取引制度」をベースとしたマーケットベースの仕組みを研究する.車両の走行軌跡データの解析を精緻化し,道路整備の変遷をオープンデータにより分析し,道路整備が周辺地域に与える影響を定量的に把握する.
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Research Products
(38 results)