2020 Fiscal Year Research-status Report
走行税課金による道路インフラ維持管理-EV化と車両認証のデジタル時代を迎えて-
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20K20417
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大澤 義明 筑波大学, システム情報系, 教授 (50183760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
城所 幸弘 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (90283811)
栗野 盛光 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (90732313)
小林 佑輔 京都大学, 数理解析研究所, 准教授 (40581591)
櫻井 一宏 立正大学, 経済学部, 准教授 (20581383)
小林 隆史 立正大学, 経済学部, 専任講師 (90466657)
和田 健太郎 筑波大学, システム情報系, 准教授 (20706957)
高野 祐一 筑波大学, システム情報系, 准教授 (40602959)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 課金 / ネットワーク流 / オフグリッド / ドローン / 予約システム |
Outline of Annual Research Achievements |
理論研究実績の例として,第一に,電力網維持負担を軽減するためのオフグリッドの効果検証の解析研究を実施した.電力を供給するインフラと電力網から外れる需要者をともに最小化するトレードオフに着目した理論化を行った.第二に,ドローンでの上空利用課金の理論化を行った.電動化により走行距離課金と同じスキームがドローンでも適用でき,従量料金の特性を積分幾何学を用いて考察した.第三に,道路利用など公共サービスにおける予約システムについて理論化を試みた.先着順方式では転売が発生し,抽選方式では転売が発生しないことを理論と数値実験にて示した.第四に,ネットワーク上において複数種類の施設を最適に配置する問題の数学的抽象化に対して,効率的アルゴリズムの設計や問題の困難性の証明を与えた. 実証研究実績の例として,第一に,大規模イベントへのアクセス交通を想定したマルチモーダル交通システムにおける動学的なネットワーク流問題を解析した.均衡状態,社会的最適状態を解析的・数値的に比較・分析することにより,最適な交通渋滞マネジメントに関する示唆を得た.第二に,実際の車両の軌跡データを用いて,その特徴を表す数値ベクトルを生成し,機械学習手法を適用した.従来の手法に,各頂点に時間帯の情報を付与した時間付加グラフのベクトル表現を提案した.第三に,日本における交通課題を俯瞰して捉えるために,ヘルシンキ在住の研究者がMaaS先進実証地域であるヘルシンキ都市圏における交通環境の調査を実施している.第四に,2020年度国土交通省事業つちうらMaaS推進協議会,関東鉄道との共同研究,宇宙航空研究開発機構新展示施設による渋滞予測に参画し,本研究成果を現場へ還元させた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的は,1)移動サービスの課題をデータ分析から明らかにすること,2)走行税課金についてEVシフトとともに理論化すること,3)道路の整備量について理論化すること,4)MaaSに基づいた効果計測を行うことである.これら目的に応じて,脱炭素社会の実現を見据え研究を行った.その結果,雑誌論文としてJournal of Information Processing,American Economic Review,GIS-理論と応用など,研究発表では,INFORMS 2020 Annual Meeting,一橋大学経済理論ワークショップなど国内外での研究発信に至っている. その中で,「グラフ上に最適に施設を配置する問題」を扱った理論研究では,この問題に対する効率的アルゴリズムの設計や問題の困難性の証明を与えた.実証的研究においては,GPSタクシー軌跡データを用い,実車率を目的変数とした回帰分析と,タクシー経路のクラスター分析を実施し,提案手法の有効性を検証した.一方,コロナ禍の移動自粛の影響を受け,多くの現地調査,研究出張,企画していた研究発表会が中止・延期となった.これらの影響を受け,実データの収集ならびに研究情報の共有に課題が発生した.
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Strategy for Future Research Activity |
理論分析に関して,第一に,道路維持管理の受益者負担を原則とするため,道路整備側と道路利用者側との対応関係を明確にすることで走行距離課金を理論化する.実証化では,個人属性を特定でき,24時間データとなるモバイル空間統計などデジタルデータを活用する.第二に,道路網,鉄道網,通信網などの数学的なモデル化であるグラフ上の最適化問題に取り組む.特に,問題の定式化および効率的アルゴリズムの設計を行ない,実問題への応用可能性を探る.第三に,道路維持管理,電動化促進に向けてのファイナンスに関する研究を継続する.最後に,一般の公共サービスにおける予約方式について,サービスの適用範囲などの精査など,充電サービスステーションを念頭に理論を精緻化していく. 実証分析として,第一に,空間モバイル統計量を活用し,自治体またぎの交通量を把握し道路利用者の特定について分析を進める.第二に,関東鉄道から得られるプローブデータを活用するなど社会的最適状態を達成するためのマルチモーダルな交通システムの研究を行う. なお,職場のリモート化のほかにも社会的な電子化がより推進される形態となり,公共交通から自動車交通へのシフト,物流需要の増加など,コロナ禍による交通への影響は多大である.この課題についての研究にも着手する.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス蔓延により予定していた調査や出張が取りやめとなったことが主たる理由である.使用計画として,順延した現地調査を実施するためなどの出張旅費,研究打合せや学会発表に関してはオンラインを想定するためその研究環境を予定している.
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Research Products
(36 results)