2020 Fiscal Year Research-status Report
視覚的質感の要因学理の解明と可変質感提示デバイスによる表現力拡張
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20K20432
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
岩瀬 英治 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70436559)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筧 康明 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 准教授 (40500202)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 視覚的質感 / マイクロ・ナノ光学デバイス / 表現力拡張 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、つやつやな表面とざらざらな表面を空間的に微細に並置することで質感を混合させ、面積割合に応じた中間的な質感が得られることを示した。本年度(令和2年度)は、これを基に当初計画通り、視覚的質感を動的に可変提示するデバイスおよびシステムの検討、および 実応用分野の探索と適用を行った。 視覚的質感を動的に可変提示するデバイスおよびシステムの検討に関しては、以下のような成果を得た。(i) 切り紙構造を用いた時間可変質感提示を行った。具体的には、オーゼティック構造を有する切り紙構造を用いることで、切り紙構造表面のつやつや面の面積と、開口部から見えるざらざら面の面積割合を変化させることで、動的に視覚的質感を可変とする表面を実現した。切り紙構造の変形量に応じて、つやつやな質感からざらざらな質感へ変化することを定量的に確認した。(ii) Electrowettingによる液滴制御を通して、平面上の液滴の配置や振る舞いを動的に変化させ、視覚的質感に動的な変化を与えるためのシステム検討を行なった。特に液滴および電極形状・パターンを検討した結果、電極端部の形状や界面活性剤の種類が結果に影響を与えることを確認した。 実応用分野の探索と適用に関しては、以下のような成果を得た。(i) 質感提示表面を付与したシリコーンゴム製の薄膜を、3次元形状を有する対象物に貼付することで、対象物の持つ色情報を保持しつつ、視覚的質感を後から変化・付与することを実現した。上記シリコーンゴム製の薄膜は伸縮可能であるため、3次元形状を有する対象物に沿って貼付することで、立体的なサンプルに対して質感を変化させるができることを示した。(ii) 海水中での塩の結晶化を利用して、温度や塩分濃度に応じて表面のテクスチャが変化する照明装置Gleamharvestingを製作し、象の鼻パークで開催された展覧会にて招待展示を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画通り、視覚的質感を動的に可変提示するデバイスおよびシステムの検討、および 実応用分野の探索と適用を行っているため。前述の2項目について、それぞれ大きく異なる2つづつのアプローチで研究を進めており、研究の広がりとしても十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、時間的に質感を可変できる可変質感提示デバイスの設計手法の確立、視覚的質感の官能評価試験手法の確立を目指すとともに、その応用先もしくは可変質感提示デバイスにより社会がどのように変わり得るかの思索・提言を行うことを目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の影響で、当初計画に対して学会出張旅費や展示会準備費などの支出が少なくなった。またこれに対して、本年度(令和2年度)に計画を変更して支出するよりも、最終年度である次年度(令和3年度)に動的質感可変デバイスの製作等のために支出する方が本研究のアウトプットを最大化するのに適していると判断したため。
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Remarks |
伊達亘,筧康明: “Gleamharvesting”, ZOU-NO-HANA FUTURESCAPE PROJECT 2020, 2020.(招待展示)
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