2021 Fiscal Year Research-status Report
Interdisciplinary Research for a Comprehensive Understanding of Social Acceptance of Cars and Self-Driving Cars
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20K20491
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
谷口 綾子 筑波大学, システム情報系, 教授 (80422195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木村 武史 筑波大学, 人文社会系, 教授 (00294611)
久木田 水生 名古屋大学, 情報学研究科, 准教授 (10648869)
田中 皓介 京都大学, 工学研究科, 助教 (30793963)
神崎 宣次 南山大学, 国際教養学部, 教授 (50422910)
中川 由賀 中京大学, 法学部, 教授 (50802881)
中尾 聡史 京都大学, 工学研究科, 助教 (70828954)
上出 寛子 名古屋大学, 未来社会創造機構, 特任准教授 (90585960)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 自動運転 / 社会的受容 / 態度変容 / 賛否意識 / 交通ルール違反 / シビックプライド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、AVsの社会的受容に向けた課題を,(a)交通工学・心理学・倫理学・宗教学・メディア学といった様々な学問分野の切り口から定量的/定性的に把握するとともに,(b)19世紀末に導入されたかつての新交通モード「クルマ」の社会的受容を民俗学・法歴史学の観点で辿ることで把握する.これらより抽出した命題を議論し、措定した仮説をアンケート調査等により包括的に検証することで,AVsが社会や文化にもたらすであろう影響を可視化し、AVsを社会にソフトランディングさせる一助とすることが本研究の目的である. 2021年度は(1)AVsに関する専門家16名による「哲学対話」を実施し,ELSIにつながる議論を行った.また,(2)移動中の活動の主観的意味とAVsによる変容可能性をテーマとして,移動中の活動が行われる“理由”と持たれる“認識”を「移動中の活動の主観的意味」(SMTM)とし,SMTMはA「義務的タスク」,B「退屈な暇つぶし」,C「暇つぶしの多少の娯楽」,D「本源的なリラックス活動」,E「暇つぶしの趣味・好きなこと」,F「自発的タスク」,G「本源的な趣味・好きなこと」と分類され,AVs導入によってSMTMは必ずしも本源的な活動に変容するわけではなく,退屈な暇つぶしに変容する可能性を分析・考察した.さらに,(3)事故回避のためのAVsによる交通ルール違反は許容されるか?,(4)AVsは歩行者の交通ルール違反を想定すべきか?―信頼の原則に着目してー,(5)東京パラリンピック2020におけるAVsバス事故の認知度と社会的受容変化の日独英比較,(6)LOS向上を見込まない自動運転バスの利用意向を乗員有無と免許種別により分析,(7)境町におけるシビックプライド(CP)の規定因とAVsの影響分析の7つのテーマについて,WEBアンケート調査,町民対象アンケート調査により調査分析と仮説検証を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
倫理的課題,法的課題,移動の主観的意味,そして自動運転バスに求められる乗務員の要件,東京パラリンピック2020における自動運転バス事故に対する人々の認識等,当初計画通り問題なく進捗している.コロナ禍によりインタビュー調査やアンケート調査の実施可否が懸念されたが,十分な配慮を行った上で,柏の葉キャンパス駅における市民向け試乗会,フォーラムにてインタビューとアンケートを実施し分析することができた.また境町においても自動運転バス沿線住民対象のアンケート調査を実施し,シビックプライドという観点から分析・考察を行うことができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も研究計画に示したとおり,研究を進める予定であり,特に一般市民向けのコミュニケーションの質向上にむけた検討を行う予定である.また,具体のフィールドとして,境町や柏の葉キャンパスのみならず,高蔵寺ニュータウン,永平寺,永源寺,上小阿仁などAVs実証実験を継続している他地域においても,シビックプライドなど共通した指標を用いた調査研究と比較分析が必要である.一方で,自動運転システム導入による負の影響の可能性や,1950年代~1970年代に日本で自動車が受け入れられてきた経緯をニュース映像などから辿る歴史民俗学的調査も実施予定である.本研究プロジェクトは交通計画や交通工学のみならず,機械工学や心理学,法学,倫理学,哲学,民俗学,保険学,メディア学,科学技術コミュニケーション,などの多彩な研究者が集う学際性が特徴となっており,自動運転システムの導入という社会的岐路に際し,包括的な対応策を引きつづき検討していきたい.
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Causes of Carryover |
コロナ禍により現地視察や対面での打合せが不可能となったため,打合せ旅費や学会発表のための旅費が執行できず,次年度使用額が生じた.2022年度は交流機会を増やし,さらなる調査・視察を予定している.
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Research Products
(15 results)