2020 Fiscal Year Research-status Report
Classification of regional dialects in Japanese
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20K20702
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
服部 恒太 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(社会総合科学域), 講師 (10758387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岸江 信介 奈良大学, 文学部, 教授 (90271460)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | COVID-19 / Interruption |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、若い世代と中年世代が、日本語を話す高齢者の様々な方言をどのように分類するのか、また、方言の分類の仕方に世代間での違いがあるのかを調べることである。当初、2020年にはパイロットスタディを行ってから福岡で実験を行う予定であった。しかし、COVID-19のパンデミックにより、この計画を実行することができなかった。
現在、私たちはオンラインで実験を行えるように研究実験を再設計している。具体的には、当初提案した実験の代わりに、リーフレットを使ったオンラインの知覚実験を開発している。具体的には、この実験は、被験者がある一人の話者を聞いた際に、地図上にピンを落としてもらうことで緯度経度を収集する。私たちはこのデザインを用いて、今後2つの実験を行う予定にしている。1つは、若い世代と中年世代が、日本語を母語とする老人が話す様々な方言をどのように分類しているかを調べる。その際、当初予定していた録音ではなく、書籍『お国ことばを知る方言の地図帳』に掲載されているサンプルを使用することにしている。これは、当初使うことにしていた録音の質に問題があることが判明したためである。この実験は、2021年にオンラインで開始し、20代の若い日本人から回答を集める予定にしている。もう一つは、20代の若者が話す日本語を、さまざまな世代の日本人がどのように分類しているかを調べる。そうすることで、日本語がどの程度標準語化されているのかを知ることができる。分析方法としてはdiscriminant analysis, self-organizing mapなどを用いることにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究費の到着が2020年8月であったこととコロナウイルスのパンデミックにより、私たちは研究プロジェクトの進め方を見直さなければならなかった。そのため、この研究プロジェクトは予定していたスケジュールよりもやや遅れている。その遅れにもかかわらず、私たちは代替となる研究方法の設計に積極的に取り組んでいる。具体的には、パンデミックの最中でもデータを収集できるように、対面実験ではなくオンライン実験を開発している;私たちの研究協力者がリーフレットを使ったインターアクティブな知覚実験を開発してくれている。さらに、その実験のための音声サンプルの収集も行っている。具体的には、西日本に住む20代の若者が話す様々な日本語の方言を収集している。今のところ、22人の話者を録音し終えている。まだ、いくつかの県(鹿児島、宮崎、熊本、岡山、三重)の話者の録音が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
私たちは現在、オンラインで実験ができるように実験のデザインを再設計している。具体的には、当初提案したfree classification taskの代わりに、リーフレットを使ったオンライン知覚実験を開発している。この実験デザインを用いて、今後2年間で2つのオンライン実験を行うことにしている。1つ目の実験は、若い世代と中年世代が、老年話者が話す様々な日本語の方言をどのように分類しているかを調べる。実験には、予定していた『日本列島諸方言音声の地域差と世代差に関する研究』に収録された録音ではなく、書籍『お国ことばを知る方言の地図帳』に掲載されている音声サンプルを使用することにしている。これは、録音の質を考慮したことによる変更である。この実験はオンラインで開始し、2021年には主に20代の日本の若者から回答を集める予定にしている。その後、他の世代からもデータを集めることにしている。2つ目の実験は、20代の若い日本人が話す日本語を、様々な世代の日本人がどのように分類するのかを調べるものである。具体的には、西日本で話されている方言を、様々な世代の日本人がどのように分類しているかを調べる。これまでに22人の20代の日本語話者と録音を行った。今後は、鹿児島県、熊本県、岡山県、三重県に住む数名の話者との録音を予定している。すべての録音と音声ファイルの編集が終了し次第、この実験をオンラインで行う予定にしている。
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Causes of Carryover |
初年度は当該助成金を付与された段階ですでにコロナウイルスの感染拡大が進んでいた。そのために、当初予定をしていた対面での実験を行うことができなかった。更に、データの分析をおこなうこともできなかった。したがって、当初計上していた額のほぼすべてを次年度に持ち越す形となった。今後の使用計画としては、データの分析に必要となるコンピュータの購入費用とオンラインで実験を行う際に必要となるデータベースと謝金への費用として使用することを見込んでいる。
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