2021 Fiscal Year Research-status Report
A preliminary study on the preceramic and early Maya civilization
Project/Area Number |
20K20712
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
青山 和夫 茨城大学, 人文社会科学部, 教授 (70292464)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | マヤ文明の起源 / 生業 / 技術 / 戦争 / セイバル遺跡 / 先土器時代 / 農耕定住 / 物質文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の学術的「問い」は、先土器時代からどのようにマヤ文明が発展したのか、その起源・形成プロセスを明らかにすることである。新型コロナウイルス感染の蔓延のために、2020年度に引き続き2021年度も現地調査に行けなかった。ピンチをチャンスに変えるべく、これまでの研究成果を論文や本としてまとめることに力を注いだ。最も大きな研究活動として、単著者『マヤ文明の戦争:考古学から辿る痕跡と盛衰』の原稿を完成させた。 本書は、考古学から戦争の痕跡を通時的に辿り、マヤ文明の戦争が社会の複雑化に果たした役割と戦争の性格を論じてマヤ文明の盛衰と実像に迫るものである。これまでに先スペイン期のメソアメリカやアメリカ大陸の戦争を扱った論文集が英語で出版されている(たとえば、Brown and Stanton 2003; Morton and Peuramaki-Brown 2019; Nielsen and Walker 2009b; Scherer and Verano 2014)。9世紀前後のいわゆる古典期マヤ文明の衰退と戦争に関する論文集もある(Iannone et al. 2016)。ところが不思議なことにマヤ文明の戦争を通時的に論じた単著は国内外のいかなる言語でも書かれていない。本書は世界で初めてマヤ文明の戦争を通時的に論じる単著書であり、2022年度に京都大学学術出版会から出版される。 査読論文としては、松木武彦と共著で「古墳文化とマヤ文明:比較考古学研究事始」を 『文明動態学』創刊号に出版した。これは日本列島の古墳文化と中米のマヤ文明の比較考古学研究に関する世界初の試論である。マヤと日本列島におけるモニュメントの約2500年間にわたる歴史的展開を時間と空間の二つの視点によって比較することにより、その共通性と相違点を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染の蔓延のために現地調査を実施できなかったが、ピンチをチャンスに変えるべく単著書の原稿や論文を完成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
単著者『マヤ文明の戦争:考古学から辿る痕跡と盛衰』を2022年内に京都大学学術出版会から出版するために校正を重ねる。グアテマラはコロナウイルス感染状況が悪化しているので、メキシコの同時期の遺跡から出土した石器資料を借り受けて、国内で石器の属性分析、高倍率の金属顕微鏡を用いた石器の使用痕分析による手工業生産と生業の復元及びハンドヘルド蛍光X線分析計を用いた全黒曜石製石器の産地同定によるメキシコ高地・グアテマラ高地産の黒曜石の遠距離交換の復元を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大のためにグアテマラの現地調査が実施できなかったため。グアテマラはコロナウイルス感染状況が今年度も悪化しているので、メキシコの同時期の遺跡から出土した石器資料を借り受けて、国内で石器の属性分析、高倍率の金属顕微鏡を用いた石器の使用痕分析による手工業生産と生業の復元及びハンドヘルド蛍光X線分析計を用いた全黒曜石製石器の産地同定によるメキシコ高地・グアテマラ高地産の黒曜石の遠距離交換の復元を実施する。
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