2021 Fiscal Year Research-status Report
AFNをもつ当事者からのボトムアップによる新しい地域防災体制の構築に向けて
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20K20776
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渥美 公秀 大阪大学, 人間科学研究科, 教授 (80260644)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石塚 裕子 大阪大学, 人間科学研究科, 特任講師(常勤) (80750447)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | AFN / ボトムアップ / 小さな声 / セーフティな参加の場 / 見えにくい障害 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、引き続き、コロナ禍の中で、国外の調査地を訪問することができず、また、国内においても極めて限定された範囲での研究となった。具体的には、昨年度から引き続き、文献調査を進め、そこから得た知見をもとに、ボトムアップ型の防災体制づくりを推進していくための国内でのモデル地区の候補(大阪府藤井寺市、岡山県倉敷市真備町)を選定し、訪問できる時期に訪問して準備を整えた。倉敷市真備町で精神障害当事者との協働活動を通じて、ボトムアップの場に参加できない要因(被災地のスティグマ)が明らかになりつつあることは、来年度以降の体制づくりにおいて考慮すべき要因として理論的にも実践的にも意義あるものとなってきている。国外の調査については、アメリカの緊急事態管理庁(FEMA)による地域における防災訓練での災害時要配慮に関するトレーニングプログラムや地域事情に応じた取り組み事例などの情報収集をオンラインで実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は、引き続き、コロナ禍の中で、国外の調査地を訪問することができず、また、国内においても極めて限定された範囲での研究となったからである。無論、国外についてはオンラインで対応し、国内は、移動・訪問可能な範囲で訪問してきているが、まずは国外の日常時の実践を必ずしも文字になっていない部分やインタビューとして語られない事柄に至るまで参与観察を進めることに研究の新たな萌芽を見ている計画であるので、国外の調査に出られなかったことは研究の遅れとなっていると判断せざるをえない。
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Strategy for Future Research Activity |
先行して実施している国内モデル地区で確認された多様な当事者が安心して参加できる場づくりという課題を踏まえ、カルフォルニア州を中心に災害時要配慮者の主体的な参加が実現している場(例えば、CERTプログラムを実施している地域)を訪問し、その工夫や必要な体制、仕組みづくりのプロセスなどをヒアリングする予定である。その知見を踏まえて国内モデル地区において地域防災における新たな担い手を位置付けるとともに、ボトムアップ型の体制づくりを試行する。さらに応用研究として、災害対応だけでなく観光やレジャーの場面でのAFNに着目した調査を行っており、その成果は「AFNの概念を援用した『楽しむ』ための合理的配慮へのニーズ:見えにくい障害のある方を対象に」というタイトル(仮題)で、学会発表することを予定している。
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は、コロナ禍によって、主たる調査地に一切行けなかったため、その旅費の使用ができなかったからである。翌年度分として請求した助成金と合わせて、より長期に、あるいは、複数回に調査地を訪問したいと考えている。無論、これもコロナ感染状況に依存する。さらに、先行して進めてきている国内の候補地、また、関連分野でのAFN概念の活用などに関して国内においても、感染状況が許す範囲で、翌年度分と合わせて、より積極的に調査を進める予定である。
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Research Products
(5 results)