2022 Fiscal Year Annual Research Report
子どもは電子マネーをどう理解するか:超スマート社会での幼児・児童の生活実態の解明
Project/Area Number |
20K20796
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 崇 北海道大学, 教育学研究院, 准教授 (20360878)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 子ども / 電子マネー / デジタルデバイス / アクターネットワークセオリー / 文化歴史的アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は以下の2点を目的とした。①超スマート社会が実現しつつある現代の子どもによる多様なデジタルデバイスの利用経験とその理解の仕方について,その実態を明らかにする。②発達心理学や社会学・人類学の諸理論を再構築し,デジタルデバイスを媒介として子どもにもたらされる新たな能力や行為の可能性について議論するための概念枠組みを整備する。 そのために本研究では,①適応過程の見えやすい幼児・児童を対象として自然な日常生活の追跡撮影による自然観察を行い,各種デジタルデバイスとの接触の実態を分析した。②活動理論やアクターネットワーク理論などモノと人間の結びつきを重視する諸理論を,現代の子どもの生活実態が説明できるように再整備することを目指した。 令和4年度は,前年度までに購入された撮影機材を用いて国内の4歳から10歳までの幼児・児童の家庭内における生活実態の調査を実施した。保護者にカメラ等機材一式を渡し,各2日間の生活を終日撮影してもらうとともに,そこで子どもが用いる種々雑多な道具に関するインタビューを実施した。令和4年度までの2年間で,北海道内のほか,関東地方,四国地方から30家庭31名の幼児・児童の協力を得て撮影が実施された。合計で500時間を越える映像の分析は継続中であるが,分析結果の一部はすでに各種国内学会で発表済みである。 研究を実施する中で,家庭というフィールドを対象として心理学・社会学領域の調査を実施する際の方法論の不十分さが明らかになってきた。そこで令和4年度には多様な研究領域で家庭を対象とした研究を行った研究者や協力者がこれからの方法論を議論するシンポジウムを対面で開催した。シンポジウムでの議論の結果は報告書として現在編集中である。 映像資料の分析と,この間に構築された研究ネットワークを活用し,最終的には新たな発達理論の構築にまで至ることが期待される。
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Research Products
(3 results)