2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of minute thermo-tag using magneto-thermal phenomena under unsteady electric field
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20K20982
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山西 陽子 九州大学, 工学研究院, 教授 (50384029)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川原 知洋 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 准教授 (20575162)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | タグ / マイクロナノ工学 / 磁性 / 生体組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は長期間安定的にウェット環境下での生体を識別できるシステムの確立を目的として研究を行った。我々は水環境に影響されにくい磁場に着目し、安価で容易に手に入る微小な磁性体の発熱等を用いて生体の個々の情報を長時間識別できる方法を提案し、発熱に向けた基礎研究を行っている。 本研究の挑戦的研究としての意義は超常磁性ナノ粒子の高周波磁場による発熱原理の一つであるネール緩和に着目し磁気モーメントの磁化遅れにより発熱する現象を利用したまったく新しいサーモタグを確立することにある。この原理の実用化の社会へのインパクトは大きくRFIDタグの市場を凌駕する微小なタグの誕生が見込まれるものである。 2020年度は本研究室の独自の技術であるパルス波電流を用いた粒子埋め込み技術によって生体皮膚に鉄ナノ粒子のパターンをプリントした。その後、生体の付近に配置してある磁場印加用コイルで高周波磁場を発生させる基礎実験を行った。コイル設計においては鉄ナノ粒子に印加される磁場は二乗で発熱量に寄与するため、磁場を強化することで発熱が可能になると考えられ、コイルを最適なものにするためコイルのインダクタンスを見積もり、電源の条件から電流値をビオサバールの法則からコイル中心部の磁場を算出して解析を行った。電源の出力W数を500Wと一定にして、電流値の上限を3Aとして設けることでコイルの巻き数、層数を変化させたときに出力磁場のピークが現れるようになった。層ごとの巻数及び層数を増やしていくことでインダクタンスが増加してインピーダンスも増加、結果的に電流値が制限されていないうちは減少して発生磁場は小さくなることより巻数と磁場の関係を導きだした。解析の結果、線径5mm, 内径12mmの条件では層数4巻数6のコイルが650kA/mと最も強力な磁場を発生させることが分かったため、本コイルを基礎実験に用いることとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は長期間安定的にウェット環境下での生体を識別できるシステムの確立を目的としている。我々は水環境に影響されにくい磁場に着目し、安価で容易に手に入る微小な磁性体の発熱等を用いて生体の個々の情報を長時間識別できる方法を提案し、発熱に向けた基礎研究を行っている。本研究の挑戦的研究としての意義は超常磁性ナノ粒子の高周波磁場による発熱原理の一つであるネール緩和に着目し磁気モーメントの磁化遅れにより発熱する現象を利用したまったく新しいサーモタグを確立することにある。2020年度は2年間の研究計画の内、微小な磁性体の生体への導入の成功とそれらを発熱させるための最適なコイル設計を行っており,計画は概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
コイル設計において、リッツ線コイルでの加熱実験では鉄板のみ加熱可能で鉄ナノ懸濁液の加熱は困難であった。印加磁場を強くすることで発熱を観察できる可能性が示唆されたため、電源条件に合わせたコイル設計を行うことで磁場を強化できることが示唆された。印加磁場以外にも粒子の分散や粒子径、印加磁場周波数など着目していくべき点は多い。また、粒子を生体に埋め込んだ際の長期的安定性についても検証の必要がある。これらの点を改善することで発熱が可能になれば、生体に導入した試薬や遺伝子コード情報をパターンに搭載させることで新たなセンシング法としてトレーシング技術に貢献できる可能性が高く、2021年度はこのような観点に絞って研究を進めていく。
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Research Products
(9 results)