2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21200
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平井 健二 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (10754400)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 光共振器 / レーザー発振 / 有機金属構造体 |
Outline of Annual Research Achievements |
光を反射するミラーが向かい合った光共振器の中に発光体を導入すると、発光の定在波が形成されることで、共振器モードに応じたレーザー発振が起こる。本研究では、有機金属構造体(MOF: metal-organic framework)の結晶を合成し、結晶面を光反射面とすることで、結晶粒子そのものを光共振器として利用した。まず、硝酸亜鉛六水和物、テレフタル酸(H2tp)、トリエチレンジアミン(ted)をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させ、マイクロウェーブで加熱することで、Kagome型のネットワーク構造を有する多孔性金属錯体[Zn2(tp)2(ted)]n(1)の結晶粒子を合成した。1の細孔内に有機色素分子(dsmpi:trans-4-[4-(ジメチルアミノ)スチリル]-1-メチルピリジニウムヨージド)、または量子ドット(CdTe)を導入し、光共振器として機能する1の結晶粒子の中に発光体を高密度に集積した。偏光蛍光観察の結果、dsmpiは1の細孔内で配向しており、遷移双極子モーメントが一方向に揃っていることが明らかとなった。dsmpiを内包した1の結晶粒子に波長532nmのパルスレーザーを照射すると、dsmpiの蛍光発光に加えて、スパイク状の発光ピークが観測された。このスパイク状の発光ピークは1の結晶粒子の共振器モードに対応していると考えられる。MOF結晶粒子の細孔内にdsmpiを内包させることでレーザー発振が可能であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は有機金属構造体の結晶粒子が光共振器として機能することを確認した。また、有機色素分子を内包した結晶粒子からレーザー発振を観測することが出来たため、当初の目的に対しておおむね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
光共振器の光閉じ込め効果を向上させるため、結晶粒子に対する金属スパッタリングを検討する。結晶面を反射率の高い金属でコートすることで、光共振器としての性能を向上させる。また、有機色素分子や半導体量子ドットだけではなく、発光性錯体を光共振器の中に導入する方法も検討する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で出張や共用装置使用に関係する研究活動が一時的に制限されている。出張や共用装置の使用を必要としない研究を前倒ししたため、研究費に差額が生じた。初年度で実施できなかった実験は2、3年目に遂行していく予定である。
|
Research Products
(1 results)