2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20K21200
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
平井 健二 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (10754400)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 金属有機構造体 / 非線形光学 / リチウム内包フラーレン |
Outline of Annual Research Achievements |
金属イオンと有機配位子が自己集合することによって、規則的な多孔性構造を有する金属有機構造体(MOF: metal-organic framework)ができあがる。MOFの細孔に光学特性を有するゲストを導入すると細孔の規則構造に従ってゲストが規則的に配列するため、特異な光学特性の発現が期待できる。本年度は、非線形光学応答を示すリチウム内包フラーレン(Li@C60)をMOF細孔の中に導入し、高調波発生を行った。 細孔径の大きなMOF-177の中にLi@C60を導入すると、細孔の規則性に従ってLi@C60が規則的に配列した。Li@C60は大気中で不安定であるが、MOF細孔に導入することで大気中でも安定に光学応答を示した。また、ラマン散乱分光法によりMOF-177のカルボニル基とLi@C60の間に電子的な相互作用があることが確認された。 第二次高調波(SHG)の発生では中心対称性が破れる必要がある。MOF-177は対称性の高い正方晶系であるが、MOF-177はC60のような大きな分子を内包すると対称性が崩れることが報告されている。偏光SHGからLi@C60を内包するMOF-177の対称性は三斜晶となっていることが示唆され、大きな分子の内包によって対称性が破れていることがわかった。この対称性の破れがSHG発生の起源だと考えられる。また、Li@C60を内包していない状態と比較してSHGの強度が40%程度向上していることがわかった。以上の結果より、MOFによるLi@C60の規則的な配列とホストゲスト相互作用によって、高調波発生の効率が向上することが示唆された。
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Research Products
(7 results)