2020 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of a new research field site for research on wild bonobo society in savanna-forest mosaic environment
Project/Area Number |
20K21448
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 真也 京都大学, 高等研究院, 准教授 (40585767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊谷 原一 京都大学, 野生動物研究センター, 教授 (70396224)
新宅 勇太 京都大学, 霊長類研究所, 特定研究員 (90706855)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 野生ボノボ / 森林ーサバンナ混交環境 / 環境適応 / 類人猿 / 人類進化 / 社会行動 / 協力の進化 / カメラトラップ |
Outline of Annual Research Achievements |
野生ボノボの調査地を新規開拓し、研究を軌道に乗せるという非常に挑戦的な試みに取り組んでいる。ボノボ生息域の最西端、コンゴ民主共和国バリ地区の野生ボノボ2集団を主対象とし、森林-サバンナ混交環境における野生ボノボの行動研究をおこなう体制を整えてきた。すでにカウンターパートとなる現地NGO・研究機関と協議を進め、MOUを締結し、現地協力者の力を借りながら野生ボノボ集団の人付けを進め、個体識別に成功した。 今年度は、2名の研究協力者および数名の博士研究者・大学院生と協力し、直接観察による行動データの収集、および糞や尿からのDNA・ホルモンサンプルの採取をおこなう予定だったが、新型コロナ感染症蔓延のため、現地に渡航することができなかった。代わりに、これまでに現地協力者とともに収集した現地情報およびボノボの行動・遊動域データを分析し、対象ボノボ集団にかんする最初の論文を国際学術誌に公表することができた。このボノボ集団が生息する地域では、サバンナが約40%を占めるが、実際にボノボがサバンナを利用しているのは、活動時間の0.5%に過ぎないことが明らかとなった。ボノボは基本的に森林生活者だと言える。しかし同時に、ボノボがサバンナを移動するだけでなく、休息したり採食に利用していることもわかった。ビデオデータも得られてはじめており、今後の詳細な行動データの蓄積・分析により、野生ボノボの乾燥環境への適応、および社会行動の変化を明らかにしたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ禍のため、現地に渡航できなかった影響は大きい。しかし同時に、現地協力者の協力もあり、これまでに収集したデータを入手・分析することができた。この地域の対象ボノボ集団にかんする最初の論文を国際学術雑誌に公表できたのは大きな成果と言える。また、現地協力者・機関と連絡を取り合い、コロナ禍が終息ししだい、現地へ渡航して今後の研究体制についての協議を続けている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が落ち着きしだい、海外での調査を再開する。ただ、それにはまだしばらく時間がかかることが見込まれるので、海外の研究者との連携を強化することで、コロナ禍終息を待たずに海外調査地でのデータ収集がおこなえる新しい体制作りに取り組む。実際、日本人研究者が現地に滞在しなくても野生ボノボの行動データを収集できる体制が構築できつつある。このようなデータを日本で受け取り、分析し、フィードバックして現地の研究・保全活動に役立てるというシステムを築きたい。 今回のコロナ禍を契機に、野生類人猿の野外調査は大きな転換点を迎えていると言えるが、この転換はコロナ禍以前に本研究計画で目指していたものであり、研究の方針に変更はない。①先端テクノロジーを用い、②国際共同研究の拠点として整備する。これら二つを転換の柱とし、本研究がモデルケースとなり、類人猿の野外研究に変革をもたらすべく、引き続き努力する。
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Causes of Carryover |
今年度、コンゴ民主共和国での現地調査に予算を当てていたが、新型コロナ禍のために海外渡航できなかった。コロナ禍が終息ししだい現地調査を再開する。また、終息に時間がかかる場合は、現地協力者と連携し、日本人研究者が現地入りできなくても研究がおこなえる体制を構築し、そのための物品費・謝金等に次年度使用額を充てる。
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Research Products
(17 results)