2020 Fiscal Year Research-status Report
画期的マウスモデルを用いた皮膚免疫寛容の破綻機序の解明
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20K21590
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
氏家 英之 北海道大学, 医学研究院, 教授 (60374435)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鄭 ビョウ 北海道大学, 医学研究院, 助教 (50833802)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 免疫寛容 / 水疱性類天疱瘡 / 胸腺 / 制御性T細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
自己免疫疾患は全身臓器に生じるが、生体内に存在する無数のタンパクのなかで一部のタンパクが自己免疫の標的になりやすい理由は大部分が不明である。本研究の目的は、特定のタンパクが免疫自己の標的となる機序を解明し、それを回避する方法を創出することである。本研究では皮膚の代表的な自己免疫疾患である「水疱性類天疱瘡(BP)」と「尋常性天疱瘡(PV)」を対象とする。発症頻度はPVよりBPが圧倒的に高いことが知られている。本研究ではこれらの疾患に着目してマウスの胸腺を解析し、なぜBPはPVより頻度が高いかを明らかにする。また、新規マウスモデルを作製して胸腺での自己抗原の発現を増加させることで「中枢性免疫寛容の強化は末梢性免疫寛容の機能不全を補完できるかどうか」を検証する。 マウス胸腺の皮膚構造タンパクの発現の網羅的解析のため、マウスの胸腺髄質上皮細胞(mTEC)をソーティングする条件検討を実施した。マウス胸腺からCollagenaseとDNAseIを用いて細胞を採取し、フローサイトメトリー法でCD45-EpCAM+UAE1+IA/IE+の細胞を採取した。マウス3匹の胸腺から300000個のmTECが回収できたが、RNAが60ng程度しか回収できなかった。 胸腺にBP180を過剰発現させ免疫寛容の破綻を回避できるかどうか検証するため、マウス胸腺のmTECにBP180を過剰発現させ、BP180に対する中枢性免疫寛容が回復するかどうかを解析する。現在、ケラチン14(K14)プロモーター下にヒトBP180タンパクを発現し、マウスBP180は欠損している「K14-BP180ヒト化マウス」とTreg欠損マウスを紅斑して「Treg欠損/K14-BP180ヒト化マウス」を作製している。Foxp3ヘテロ/BP180KOヘテロ/K14-BPTG+マウスができたので、今後さらに交配し目的のマウスを作製する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
マウスのmTECはソーティングは問題なくできているが、十分量のRNAを抽出できていないため、RNA-seqenceがまだ実施できていない。また、COVID-19の影響により一時的な動物実験の規模縮小があったためTreg欠損/K14-BP180ヒト化マウスもまだ完成に至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
マウスmTECから十分量のRNAを採取するため、抽出方法をQIAGENのキットのほかにTrizolなど別の方法も試行中である。それでも十分なRNA量が確保できない場合は、マウスの匹数を増やして細胞を回収する。あるいは、通常のRNA-seqenceではなく、少量のRNAで解析ができる微量RNA-sequenceでの解析も検討する。 また、マウスの交配を継続してTreg欠損/K14-BP180ヒト化マウスを作成し、その免疫応答や表現型をTreg欠損マウスと比較する。
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Causes of Carryover |
マウス胸腺(mTEC)のRNA抽出が完了しなかったため、当初計画していたRNA-sequenceを実施できなかったので外注費用が大幅に計画を下回った。また、マウス飼育代を別財源から支払ったためその分を次年度に使用することとした。また、COVID-19の影響で多くの学会が中止やWeb開催となったため、学会の旅費も使用しなかった。 2021年度は、マウス胸腺(mTEC)のRNA-sequenceの外注を予定している。少量のRNAしか得られない場合は微量RNA-sequenceを外注する予定とし、その場合通常のRNA-sequenceより費用が高くなる。また、学会が再開された場合は、旅費を支出する。
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