2021 Fiscal Year Research-status Report
R-Spondinによる肝幹細胞を標的とした造血幹細胞移植後肝傷害の治療開発
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20K21610
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
豊嶋 崇徳 北海道大学, 医学研究院, 教授 (40284096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 直哉 北海道大学, 医学研究院, 教授 (10334418)
冨塚 一磨 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (40444640)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | GVHD / 胆管上皮幹細胞 / 造血幹細胞移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの造血幹細胞移植モデル(B6ドナー、B6D2F1レシピエントのMHC不適合移植モデル)を用いた研究を引き続き実施した。移植後経時的に肝GVHDのマーカーである血清ビリルビン値を測定したところ、移植後28日目に上昇のピークを認めた。また、肝臓の移植片対宿主病(graft versus host disease:GVHD)を病理学的に検討した。同種造血幹細胞移植後14日目より門脈域への単核球浸潤を伴う胆管上皮細胞のアポトーシスといった典型的なGVHD病理像がみられ、28日目に最大変化がみられ、以後プラトーとなった。28日目の組織で、胆管上皮細胞障害のバイオマーカーであるmatrix metalloproteinase 7 (MMP7)とcCaspase 3の発現亢進がみられ、血清ビリルビンの上昇と一致していた。一方、同種移植後にみられた上記の様々な変化はコントロールである同系移植後にはみられず、GVHDに伴う変化であることが確認できた。次に肝臓から分離した胆管分画を培養し胆管上皮オーガノイド作製に成功した。同種移植後14日目、28日目の肝臓由来のオーガノイドは同系移植後と比較し、有意に減少していた。このことから胆管上皮幹細胞がGVHDの標的となることを世界で初めて証明できた。次いで胆管上皮幹細胞がGVHDにおいて障害されるメカニズムに迫るため、肝組織でのサイトカイン発現をPCR法で検討したところ、interferon (IFN)-gamma、tumor necrosis factor (TNF)、transforming growth factor (TGF)-beta mRNAの有意な発現亢進がみられ、胆管上皮幹細胞障害に関わっているものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
胆管上皮オーガノイド作製手技が確立できたことで、胆管幹細胞がGVHDの標的であることを世界で初めて証明できた点で、欧米の競合相手に先行することができ、極めて良好な進捗であったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
肝組織で発現上昇がみられたIFN-gamma、TNF、TGF-betaを細胞別(ドナーT細胞、ドナー由来マクロファージ、クッパ―細胞など)に検討する。これにより発現細胞を同定する。一方、胆管上皮オーガノイド培養系に各サイトカインを添加し、オーガノイド形成を阻害するサイトカインを同定する。これが決定できたらその抗体や阻害薬を入手し、オーガノイド形成阻害が回避されるかを検討する。これらの研究によって肝GVHDの本質である胆管上皮障害の細胞、分子的メカニズムが解明され、新たな治療法の開発へつながることが期待される。
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Research Products
(9 results)
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[Presentation] Gilteritinib Enhances Graft-Versus-Leukemia Effects Against FLT3-ITD+ Leukemia after Mouse Allogeneic HSCT2021
Author(s)
Hasegawa Y, Zhang Z, Kikuchi R, Chen X, Yoneda Y, Senjo H, Sekiguchi T, Kawase T, Tsuzuki H, Ishio T, Ohigashi H, Nakagawa M, Hashimoto D, Teshima T
Organizer
Transplantation & Cellular Therapy Meetings of ASBMT and CIBMTR 2021
Int'l Joint Research
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[Presentation] ギルテリチニブはマウスFLT3-ITD陽性白血病に対する移植片対白血病効果を促進する2021
Author(s)
張紫, 長谷川祐太, 菊池遼, 陳炫仲, 米田和樹, 千丈創, 関口智子, 川瀬竜也, 續啓史, 石尾崇, 大東寛幸, 中川雅夫, 橋本大吾, 豊嶋崇徳
Organizer
第43回日本造血免疫細胞療法学会総会
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[Presentation] GVHD targets organoid-forming Biliary Epithelial Stem Cells Via a TGF-β-Dependent Manner2021
Author(s)
Hasegawa Y, Hashimoto D, Kikuchi R, Zhang Z, Senjo H, Sekiguchi S, Eiko Hayase E, Tateno T, Yokoyama E, Takahashi S, Chen X, Yoneda K, Ohigashi H, Ara T, and Teshima T
Organizer
63nd American Society of Hematology Annual Meeting
Int'l Joint Research