2021 Fiscal Year Research-status Report
一細胞解析による肺炎球菌感染時の宿主転写応答の解明
Project/Area Number |
20K21675
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川端 重忠 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (50273694)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 雅也 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (00714536)
住友 倫子 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (50423421)
中田 匡宣 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90444497)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 肺炎球菌 / 肺胞洗浄液(BALF) / シングルセル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
口腔レンサ球菌の一種である肺炎球菌は、肺炎の主たる起因菌である。肺炎球菌性肺炎では、宿主の過剰な炎症応答が組織を破壊し、菌が深部へ伝播すると考えられている。一方で、感染によりどのような細胞集団が遊走されるか、また細胞集団が感染にそれぞれどのように応答しているのか、詳細な情報は今まで明らかとなっていない。本研究は、感染によって引き起こされる宿主のRNA転写およびゲノムワイドのオープンクロマチン領域の変化を細胞集団ごとに解析することで、これまでにない精度での宿主応答の解明手段の確立を試みるものである。 今年度においては、マウス肺炎モデルから得た肺胞洗浄液について、細胞デブリを密度勾配遠心により除き、死細胞を磁気標識してマグネットを用いて除去することを試みた。しかし、シングルセル解析を実施するのに十分な数と品質の細胞を確保することができなかった。肺胞洗浄液ではなく、肺全体を懸濁することも視野に入れ、引き続き細胞の回収方法を検討する。さらに、感染時には血液から感染局所に炎症細胞が遊走すると考えられることから、必要に応じて血液を検体としてシングルセル解析を試みる。 また、半数致死量以下の菌数を感染し、感染後の肺組織について炎症応答を解析したところ、炎症性サイトカイン量は感染前と比較して有意な増加が認められないことが示された。一方で、肺組織中の好中球エラスターゼ発現細胞の割合は増加した。このことから、肺炎球菌は宿主の免疫細胞を介さずに直接的に好中球を活性化する可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の蔓延により研究活動の一部が制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要に示したように、肺胞洗浄液ではなく、肺全体を懸濁することも視野に入れ、引き続き細胞の回収方法を検討する。さらに、感染時には血液から感染局所に炎症細胞が遊走すると考えられることから、必要に応じて血液を検体としてシングルセル解析を試みる。血液検体からのシングルセル解析においては、赤血球が解析を阻害する要因となる。そこで、密度勾配遠心法や磁気ビーズなどを用いたポジティブセレクションあるいはネガティブセレクションによって、解析の対象とする白血球の生存率を保ちつつ、赤血球を除去する方法を探索する。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症に伴う制限のため、研究計画の遅れが生じ、次年度使用額が生じた。 次年度には、シングルセル解析用の細胞の回収方法を検討するため、細胞回収用の試薬類を購入する。また、シングルセル解析を実施するために一部解析の委託を行う。また、得られた成果を論文として発表するために投稿料あるいはオープンアクセス費を支払う。
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Research Products
(30 results)