2020 Fiscal Year Research-status Report
脂肪肝由来エクソソームに着目した肝線維化予防のための革新的検査法の開発
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20K21692
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
千葉 満 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20583735)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | NASH / miRNA / マイクロアレイ / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は以前より採取していたNASHモデルマウスの肝臓組織・血清サンプルを用いてNASH発症モデルマウスの組織学的評価と血清中miRNAバイオマーカーの探索を行った。本研究は弘前大学動物実験委員会の承認を経て行われた。得られた成果を以下に示す。 ①6週齢C57BL/6Nマウスに高脂肪食餌(A06071302,コリン欠乏メチオニン減量60 kcal%脂肪食)を摂取させてNASHモデルマウス作製した。高脂肪食摂取1週間で肝臓の部分的な脂肪化、摂取2週目からは組織全体に脂肪化組織像が確認された。高脂肪食摂取後1週までは非線維化肝組織像を確認した。摂取2週で軽度線維化像を認め、6週以降で明確な線維化像を得た。また肝障害を確認するためにAST、 ALT値の測定を行った。NASH群のAST値、ALT値は給餌開始1週より高値を示し、給餌1週にしてcontrol群との有意な差が明らかとなり、肝障害が確認された。これらの結果より、高脂肪食摂取によるNASHモデルマウスを作製できることが確認された。 ②飼料摂取1、2、6週のマウス肝臓に対し miRNA マイクロアレイ解析を行った。摂取1週のNASH群のマウス肝臓では、control群と比較し1.5倍以上発現が上昇したmiRNA は8種であり、低下したmiRNAは24種であった。摂取2週では発現上昇は9種、低下は47種であり、摂取6週では発現上昇は12種、低下は40種であった。これらのなかで、摂取1、2、6週全てに発現が見られたmiRNAは12種であり、このうち発現が上昇したのは8種、低下したのは4種であった。また、肝臓と同様にmiR-342-3pとmiR-34a-5pは経時的に発現が上昇していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
○NASHモデルマウス作製(達成度100%) NASHモデルマウスの肝臓の組織学的解析により、脂肪化、炎症像、線維化が確認され、NASHを引き起こしていることが確認できた。このNASHモデルマウスを用いて肝臓・血清における遺伝子発現変化を次年度以降も解析を続けていく。 ○NASHモデルマウス肝臓におけるmiRNA発現スクリーニング(達成度100%) NASHモデルマウスの肝臓にどのようなmiRNA発現の変化が引き起こされているかmiRNAマイクロアレイにて解析した。今後血清中miRNA発現を詳細に調べることでNASHバイオマーカーとなる血清中miRNAを明らかにしていく。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は2020年度の課題を引き続き遂行するとともに、以下の課題を検討する。 ①NASHモデルマウスの血清中miRNA発現変化を調べ、NASHバイオマーカー候補を探索する。 ②発現に差のある血清中miRNAが肝臓由来であることを証明する。具体的にはNASHモデルマウスの肝臓から各種細胞を分離し、遺伝子発現変化や細胞外への放出現象について調べる。 ③血清中miRNAが細胞外小胞エクソソームに内在するか明らかにする。
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