2021 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪肝由来エクソソームに着目した肝線維化予防のための革新的検査法の開発
Project/Area Number |
20K21692
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
千葉 満 弘前大学, 保健学研究科, 准教授 (20583735)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | NASH / miRNA / マイクロアレイ / バイオマーカー / 肝線維化 / miR-29 / コラーゲン / パスウェイ解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は昨年度に引き続き、高脂肪食餌摂取によるNASHモデルマウス作製を行い、肝臓組織・血清サンプルを用いてNASH発症モデルマウスの組織学的評価と血清中miRNAバイオマーカーの探索を行った。本研究は弘前大学動物実験委員会の承認を経て行われた。得られた成果を以下に示す。 高脂肪食餌摂取2週目のマウス肝臓のHE染色では脂肪変性、風船様変性、炎症細胞の浸潤がみられ、NASH発症状態であることが確認できた。給餌開始から6週目のマウス肝臓のα-SMA免疫染色では星細胞の活性化が、シリウスレッド染色では線維化が認められたため、線維化が出現した状態であることが確認できた。マイクロアレイ解析を行った結果、Control群と比較してNASH群のマウス肝臓で1.5倍以上発現上昇するmiRNAは9個、発現低下するmiRNAは47個あった。マウス血清においてはNASH群で21個のmiRNAの発現が上昇し、7個のmiRNAの発現が低下していた。OmicsNetによるパスウェイ解析により、miR-29が線維化に関連するコラーゲン遺伝子をターゲットとしていることが予測された。miR-29はNASH発症の肝臓では発現が低下し、血清中では発現が増加することが確認できた。これらの結果から、健常時の肝臓ではコラーゲン遺伝子をターゲットとするmiR-29が発現していることで線維化を抑制しているが、NASH発症時ではmiR-29の発現が低下することでコラーゲン発現が上昇し、線維化が亢進することが予測された。血清中miR-29の増加が初期の肝線維化を予測できるバイオマーカーとなる可能性があるため、今後更なる検討を行う。
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