2020 Fiscal Year Research-status Report
季節性インフルエンザ流行初期に絶対湿度が寄与する機構解明と新たな予防対策への挑戦
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20K21741
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Research Institution | National Institute of Public Health |
Principal Investigator |
牛山 明 国立保健医療科学院, その他部局等, 統括研究官 (60291118)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 絶対湿度 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザは感染力が強く、毎年感染規模には違いがあるものの多くの感染者を出し、その社会的影響力は大きい。この流行に対する現在の対応としては、1) 流行前の啓発、2)ヒトに対する免疫予防(予防接種)、3) 感染後の出席停止、4) 投薬の4つの方法がとられている。このうち2)の予防接種は必ずしも流行するウイルス型とは一致するとは限らず、また任意接種のため接種率が決して高くなく全体の対処方法とはならない。また4)の投薬はその症状の軽減に寄与する一方で流行自体を抑えることはできない。つまり、これまでの対応の多くは、ヒトの内側からの防御策と感染後の緩和に集中しており、いかに流行を抑えるかという事前の対策にはこれまで踏み込めていなかった。 この対策を進めるためには、本研究では流行のメカニズムを科学的に解明することを目的とする。これまでの研究で季節性インフルエンザ流行には絶対湿度との関連がみられること、またインフルエンザウイルスは湿度により感染力は変わらないことがわかってきた。しかし、感染力の変わらないウイルスがいったいどのようにしてヒトへの感染を進めることができるのかについて明らかにされてはいない。例年同時期に流行が始まる以上、何らかの季節性変化が影響を与えていることは自明であり、その季節性変化がウイルスおよび感染を受ける側の生体に対しどのような影響を与えているのかを研究・調査する必要がある。 今年度は、様々な調査・研究を行うための文献調査、および実験機材の調達を行った。 併せて、文献調査から得られた情報を整理しそれらを踏まえた上で、研究倫理審査を受け、今後の研究の基盤づくりを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は新型コロナウイルス感染症まん延に伴う業務縮小のため、実験を実施するまでに至らなかった。 一方で、様々な文献を調査し、今後の研究を効率的に進めるための準備が完了できた。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は動物実験を中心に推進を進め、当初の目的の達成を目指す。 具体的には絶対湿度の低い条件下でマウスを約1週間飼育し、絶対湿度条件が咽頭及び鼻腔組織表面に与える影響を観察する。そのためには絶対湿度条件を創出するために一定の気温と湿度を保った環境を維持維持可能なマウス用恒温恒湿チャンバーを整備し様々な条件でマウスを飼育する。飼育後のマウスから咽頭(上咽頭、中咽頭)部及び鼻腔部を摘出し標本を作り、走査型電子顕微鏡で観察する系を確立する。動物から咽頭部を取り出す前に、疑似ウイルス粒子を噴霧し、その沈着数を比較検討し、一定の湿度での馴化における咽頭部の変化を明らかにする計画である。 併せて、実地調査の準備を進めていく。
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Causes of Carryover |
交付決定が9月後半となったため、実質半年間しか研究期間がなかった点と予期できなかった新型コロナウイルスのまん延があり、研究計画に若干の遅れが生じた。また、出張なども自粛せざるを得ず、次年度への持ち越しとなった。来年度は、新型コロナウイルスが終息すれば学術集会などに積極的に参加したいと考えている。
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