2020 Fiscal Year Research-status Report
蛍光体発光スペクトルの安定性に着目した検出器校正による環境計測ライダーの新展開
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20K21844
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
矢吹 正教 京都大学, 生存圏研究所, 助教 (80390590)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 大気ライダー / 校正手法 / 環境計測 / 蛍光スペクトル |
Outline of Annual Research Achievements |
気温・水蒸気・エアロゾル・オゾン等の精緻な空間分布を得る環境計測ライダーは、豪雨災害をもたらす局所的な積乱雲生成過程の理解や、健康影響に直結する大気質診断に有用な情報を提供する。ライダー手法は、複数の光源、または散乱・蛍光により光源波長からシフトした光の分光計測を基礎としている。計測には複数の検出器が必要であり、それらの校正が信号から導出される物理値精度の鍵となる。例えば、ラマンライダーは、他観測では難しい雨滴が生成される前の水蒸気空間分布計測の安定運用に実績がある一方で、気球にセンサを搭載したラジオゾンデとの校正観測が定期的に必要であり、ラジオゾンデ定常観測点以外への展開が難しいという課題があった。 本研究では、蛍光体の発光スペクトルを用いたライダーの新しい校正手法の開発を目的とする。単純かつ高精度・高頻度の校正は、品質の良い観測データの取得に役立つ。2020年度は、蛍光体の発光スペクトルを実験室で評価するための温調機能を備えた校正評価装置を構築した。波長355 nmおよび波長266 nmのレーザーライン上に校正装置を設置し、横から受光・分光計測することで紫外から可視光までの参照スペクトルを得る。分光検出性能は、微弱な回転ラマン散乱光のスペクトル計測から推定される気温の計測精度から評価した。また、数日間の連続計測を行い、校正に影響するスペクトルの経時変化についても評価した。これらの実験を踏まえて、ライダー望遠鏡を覆うタイプの専用校正装置の基本設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験室で運用可能な校正評価装置を新たに構築したことで、多様な物質に対して任意の気温条件下での実験が可能となり、汎用性の高い専用校正装置の基本設計に生かすことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度に複数タイプのプロトタイプの専用校正装置を組み立てて評価実験を行い、2022年度に実際の大気計測と合わせた実証実験を実施する。
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Causes of Carryover |
学会・会議が中止、またはオンライン開催となったため。当該助成金は、校正装置試作のための治具特注経費、および論文・会議等での成果発表のための経費に使用する。
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Research Products
(6 results)