2021 Fiscal Year Research-status Report
酸素生成・組織化時間制御機能を有する担体を導入した血管化培養組織の構築
Project/Area Number |
20K21902
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶原 稔尚 九州大学, 工学研究院, 教授 (10194747)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水本 博 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90346817)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 組織工学 / バイオマテリアル / ハイドロゲル / 酸素供給 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は培養細胞による生体外培養組織構築過程において、血管による酸素供給が実現されるまでの間に一時的に酸素供給が可能な培養基材の開発とその基材を利用した培養組織構築法の開発に取り組んでいる。酸素供給法としては過酸化カルシウムの加水分解による酸素放出に着目して検討を行っている。 本年度は過酸化カルシウム含有コラーゲンゲルを調製し、酸素供給能の定量的評価に取り組んだ。まず過酸化カルシウム含有コラーゲンゲルとPBSによる閉鎖系にてPBS中の溶存酸素濃度を経時的に測定することにより、過酸化カルシウム含有コラーゲンゲルによる酸素移動容量係数を測定した。過酸化カルシウムの添加濃度やカタラーゼの添加効果について検討した結果のうち、一例として過酸化カルシウム濃度を1.5 mMとして、カタラーゼを添加した系において測定した結果をもとに実際の培養系での培養可能な細胞密度を推算した結果、10の6乗オーダーの細胞密度において、外部から酸素供給がなくとも培養可能な酸素供給能を有していることが示唆された。 一方、同条件での測定環境を5%酸素雰囲気下の開放系において実施し、酸素放出時間を評価した結果、90時間程度の間、周囲雰囲気以上の酸素濃度を維持できることが示された。さらに、この結果をもとに同条件で調製した過酸化カルシウム含有コラーゲンゲルを用いた2%酸素雰囲気下でのHepG2の単層培養を実施した。その結果、培養72時間目以降の細胞数は対照群と比較して高い値が示された。この結果、本研究で作製した過酸化カルシウム含有コラーゲンゲルは低酸素環境下での細胞培養に効果的であることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度の検討の結果、ハイドロゲルの酸素放出能の定量的評価が必要と判断し、酸素移動容量係数の測定を主に実施した。この結果、現在調製している条件での培養可能な細胞数を具体的に推算することが可能となった。また、成果としては示していないが、中空糸を鋳型としたハイドロゲルと細胞との複合組織構築を試行しており、培養実験による酸素供給能の実証の準備は整った。以上の結果、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
中空糸を鋳型としたハイドロゲルと細胞の複合組織構築を実施する。ハイドロゲル中の過酸化カルシウム濃度と細胞密度を種々検討することにより、培養条件下によって酸素供給能の評価を実証する。 一方、前年度より過酸化カルシウムを包括化する徐放システムを模索していたが、本年度の検討結果を鑑みると、包括化による酸素供給能の不足が懸念される。本検討は引き続き検討するが、高細胞密度下での酸素供給能の達成に主眼をおいて検討を実施する方針である。
|
Research Products
(6 results)