2020 Fiscal Year Research-status Report
村上春樹文学におけるアダプテーション研究―外国人翻案者テクストに着目して―
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20K21960
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
山根 由美恵 山口大学, 教育学部, 准教授(特命) (40566725)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 村上春樹 / アダプテーション / 世界文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、グローバル規模で活発化している村上春樹原作のアダプテーション(翻案)の分析を通じ、アダプテーション研究の可能性とともに、村上文学の「日本」性および人種や国を超える普遍性について解明することである。研究計画としてⅠ:舞台「海辺のカフカ」、Ⅱ:映画「バーニング」、Ⅲ:舞台「ねじまき鳥クロニクル」を対象とし、本年度は、Ⅰ:舞台「海辺のカフカ」、Ⅲ:「ねじまき鳥クロニクル」に関する論文を発表した。コロナのため、Ⅱ「バーニング」に関しての韓国調査が行えなかったが、代わりに漫画「螢」に関して、作者への直接インタビューを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナのため韓国調査が実現できなかったが、「村上春樹とアダプテーション研究会」を立ち上げ、一ヶ月に一回(計4回)行う積極的な活動ができた。ここで共同研究を行ったことで、将来に向けての研究体制(人的ネットワーク)を作ったことが一番の成果である。更に、研究発表2回、合評会1回、論文2本という成果も出せた。また、村上原作「螢」の漫画家である森泉岳土氏に直接インタビューを行った。ここでの貴重な資料を基にした発表を、2021年度の村上春樹国際シンポジウムで行う予定である(エントリー査読済)。
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Strategy for Future Research Activity |
「村上春樹とアダプテーション研究会」の活動を通じ、村上文学研究およびアダプテーション研究を進める。2年間の活動の集大成として、シンポジウムを行う。あわせて、単著『村上春樹・世界文学とアダプテーションー『螢・納屋を焼く・その他の短編』ー』に向けての原稿の作成を進める。現在7割完成しており、2021年度における発表(2回)をあわせ、再来年度の出版を目指す。
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Causes of Carryover |
研究計画の中に、韓国における実地調査の予算を入れていた。また学会の旅費も計上していたが、コロナのため外国調査が不可能になり、学会はオンラインになったので旅費が発生しなかったため。 2020年度の残額(289421円)は、ホームページ作成(業者委託)の予算とし、村上春樹とアダプテーション研究会の活動内容などを発信する。2021年度の研究費使用計画として、アダプテーション研究に関する書籍・DVDメディアの充実、村上春樹とアダプテーション研究会における招待講演・招待発表の誘致や、研究会会員における共同研究予算を考えている。
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Research Products
(5 results)