2020 Fiscal Year Research-status Report
アジア・太平洋戦争期における海軍志願兵徴募と地域ー兵事資料の分析を中心にー
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20K22033
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Research Institution | Fukui National College of Technology |
Principal Investigator |
木村 美幸 福井工業高等専門学校, 一般科目(人文系), 助教 (40881066)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 海軍 / 兵事資料 / 志願兵 / 地域 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は次の内容によって研究を進展させた。 ①軍事社会史研究全体における本研究の役割の整理:軍事社会史研究全体の動向における海軍や志願兵を取り上げる意義について整理を行い、口頭報告を行った。また、現時点での軍事社会史、特に私が取り組んでいる「軍隊と地域」の問題を考える上での最新の研究成果である中野良『日本陸軍の軍事演習と地域社会』(吉川弘文館、2019年)について書評を行い、研究動向について理解を深めた。 ②海軍がなぜ志願兵を増員させたのかについての検討:海軍が何故そもそも志願兵を増員させたのかについて、海軍省人事局の資料を用いて検討した。この結果、陸海軍間で理想的な兵員を如何にして確保するのかの意見対立が、海軍の陸軍に対する不信を生み、海軍が独自の裁量で採用することができる志願兵を増員することにつながったことを明らかにした。また、その成果を学術論文として公表することができた。 ③海軍関係兵事会議についての分析:海軍関係の兵事会議について特に長野県上伊那郡南向村の事例を中心に検討した。その際に、今まで私が研究してきた各種組織の動向に留意しつつ、地域における海軍の志願兵徴募・宣伝活動について理解を深めた。また、適宜他地域の兵事資料を用いることによって、普遍的に言える部分と、地域に固有である部分の整理を行った。 以上三点を通じて海軍志願兵研究の意義を再確認した上で、海軍中央での志願兵徴募の動向を考察し、兵事資料を用いた検討を前進させることができたのが、本年の研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルスの影響で、思うように調査に行くことはできなかったが、その分インターネット上で閲覧できる資料やすでに複写を終えている資料を中心に検討をすすめ、成果として公表することができた。 このため、総合的に考えおおむね順調に研究が進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度行くことのできなかった調査地での調査に加え、本科研の最終年度としての総まとめの作業を行っていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響によって、史料調査が充分に行えなかったため。
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Research Products
(3 results)