2020 Fiscal Year Research-status Report
Anthropological Study on Homemaking of South Sudanese Refugees
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20K22039
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
村橋 勲 東京外国語大学, 現代アフリカ地域研究センター, 研究員 (00882333)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 家(home) / 難民キャンプ / 物質性(materiality) / 南スーダン / ケニア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ケニアの難民キャンプでのフィールドワークに基づき、「伝統的な」モノを製作し、使用して行われるパフォーマティブな文化的実践をとおして、南スーダン難民がどのように家郷(homes)を創造するかを明らかにするものである。研究の目的は、内戦や紛争という社会的状況において離散した地域共同体の成員が新たな社会文化的構成を作り出す動態から1.個人と共同体が帰属意識を新たに創出、確認する過程において、身体やモノがどのように行為主体的に働きかけるか、2.パフォーマティブな文化的実践において、変化する社会関係、社会的役割、慣習的規範、道徳的価値がいかなるやり方で反映されるか、を探求することである。 2020年度は、新型コロナウイルス感染症拡大のため、日本からケニアに渡航することができなかったため、フィールドワークを実施しなかった。そのかわり、電話やSNSを介して、インフォーマントであるカクマのロピット人と連絡をとりつつ、聞き取り調査と今後の調査についての相談を行った。調査地であるケニアのカクマ難民キャンプでは、2020年前半にはロックダウンにより集会やダンスなどの文化的実践が実施できない期間があったものの、後半には次第に通常の生活に戻ったことや、カクマにロピット難民が増加したために、新たしい儀礼広場が創造されたことなどが確認された。 本研究に関連して、これまでのウガンダで行ってきた研究実績に関する単著と論文を出版した。2021年2月に南スーダンの独立、内戦、難民に関する日本語での単著を出版したほか、3月にウガンダのキリヤンドンゴ難民居住地に関する英語論文を発表した。また、これらに関する研究発表も行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的にみられた新型コロナウイルス感染症拡大のため、調査地であるケニアでのフィールドワークの実施ができず、また、ケニアにおいても調査対象である南スーダンのロピットの人々の文化的活動が大幅に縮小されたことによる。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年(令和3)度は日本とケニアのコロナウイルス感染症拡大の影響を考慮しつつ、渡航可能な時期をみつけて、ケニアに渡航する。1ヶ月程度のカクマ難民キャンプでフィールドワークの実施と、関連する研究発表を行うことを計画している。
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Causes of Carryover |
2020(令和2)年度は、新型コロナウイルス感染症拡大により、フィールドワークを行うことができなかったため、外国旅費が発生しなかった。また、国内の研究会もすべてオンラインとなったために国内旅費も発生しなかった。そのため、翌年度分として請求した助成金とあわせて、2021(令和3)度度にフィールドワークを実施する計画である。また、それに伴う資料収集(印刷・複写費を含む)、物品購入、研究関連図書の購入に係る費用が発生する。
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Research Products
(9 results)