2021 Fiscal Year Research-status Report
Creation of Common Value Added Tax in the European Communities: Study of the sixth EC VAT directive
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20K22099
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Research Institution | Teikyo University |
Principal Investigator |
小西 杏奈 帝京大学, 経済学部, 講師 (70795921)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 付加価値税 / 欧州統合 / 租税協調 / 国際課税 / 財政学 / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、2020年度に引き続き、国内で入手可能な二次文献を用いて、理事会六次指令によって誕生したEC型付加価値税制の創設過程の分析を行った。当該年度中は、特に、EC型付加価値税制の創設を機に、付加価値税をベースとしたEC共通予算の新たな独自財源が創設されたという事実に着目して分析を行った。六次指令では、従来から追求されていた完全な共同市場の実現だけでなく、EC共通予算の独自財源の確保という新たな目的が加えられたため、共通付加価値税制の議論は、ECの民主化や加盟国の租税主権の議論とますます切り離すことができなくなった。この議論は、近年OECDが主導となって進めている国際課税の議論に結びつくような、いくつかの重要な論点を提示している。 どのように付加価値税制がECの新たな独自財源となったのか、そして、それによって共同体としてのECがどのように変化したのかを明らかにするためには、一次資料を用いた研究が必要であるが、新型コロナウイルス感染拡大により、当該年度も欧州への資料収集は断念せざるを得なかった。そのため、2022年度には欧州での資料収集を実施し、この問題に関する欧州委員会や加盟国の意見、その背景にある政策思想についても明らかにしたい。 本研究の成果の一部は、2021年5月社会経済史学会、同年11月Social Science History Associationにおいて発表された。2022年7月には、研究代表者がオーガナイザーとして参加する、World Economic History Congressの付加価値税制の国際比較に関する企画セッションで、当該年度の研究成果を発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は当該年度に終了する予定であったが、研究期間中の新型コロナウイルス感染拡大で海外への渡航ができず、一次資料の収集ができなかったことで研究に遅れが生じた。これに加え、年度中の研究代表者の妊娠・出産によって、一時的に研究を中断せざるを得ない時期が生じたため、本研究課題の研究期間を延長し、当該年度に実施できなかった作業を2022年度に実施することとした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年7月にパリで行われる、World Economic History Congressの企画セッションにおいて、これまでの研究成果を発表する。学会参加後、引き続きパリに滞在し、当該年度に実施できなかった一次資料の収集を実施する。この資料収集で得られた情報を整理して、秋に国内で行われる学会でその成果を発表することを予定している。残りの研究期間は、論文の執筆に充てられ、研究の成果を投稿論文または書籍内の論文としてまとめる。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大を受け、予定していた欧州での資料収集が実現できなかったために次年度使用額が生じた。この金額については、2022年7月から8月にかけて実施するパリ・ブリュッセルでの資料収集にかかる旅費・滞在費等のために使用される予定である。
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Research Products
(3 results)