2022 Fiscal Year Annual Research Report
Deliberative pedagogy for democratic disagreement
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20K22197
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
西山 渓 同志社大学, 政策学部, 助教 (00876211)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 対立 / 可視化 / 熟議 / 教室 / 選考の変容 / 民主主義教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年から続く本研究では、最終的に主に以下の2点についての重要な成果を得ることができた。いずれも、キーワードは「可視化」である。 第一に、民主的な対立を促進するためには、多様な意見が分布する中で自身の意見がどこに位置づくかの理解を補助するための「意見分布の可視化(visualization of preferences)」の技術が重要になるということである。たとえ対話・熟議の中では他者が自身とは全く異なる意見を持っていると感じることがあっても、実際に可視化された分布を見ると、自身が感じていたほどの大きな対立はないということに気づくことがある。この気づきが、異質な他者に対して非民主的な対立を試みることを控える要因となる。 第二に、これと関連して、民主的な対立の促進のためには、対話・熟議の最初と終わりで自身の意見がどのように変化したかを理解するための「選考の変容の可視化(visualization of preference-transformation)」の技術の重要性である。たとえ対話・熟議が終了したのちに対立がまだ残っている状態であっても、そこに何らかの選考の変容がある場合、それは異なる他者の意見に影響を受けたということを意味している。逆に選考の変容が見られなかった場合、その人は自身の意見に固執する「対立の促進者」となる恐れがある。選考の変容の有無を可視化することにより、後者に対して適切な指導をすることで、民主的な対立が促進する可能性が高まる。 いずれの「可視化」に関しても、本研究で開発し、さまざまな教育現場などで使用した「賛成反対ビジュアライザーMetanion」が重要な役割を果たした。Metanionは保存できるデータの数や情報の保護の観点からまだ改善の余地があるものの、上記2点の「可視化」を的確に促すためのツールであり、今後教育現場への応用が期待される。
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Remarks |
本研究で開発した対話の際の意見の対立・選考の変容を可視化するためのWebツール。最初と最後で同じ質問をし、それに対してGoogleフォームと紐づけた回答フォームに回答することで、意見の変容や誰がどの程度対立しているかを即座に可視化できる。現在一般公開への準備中。
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Research Products
(15 results)