2020 Fiscal Year Research-status Report
ICTを用いた効果的な心理療法提供の社会実装に向けた研究
Project/Area Number |
20K22280
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
大井 瞳 国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 認知行動療法センター, リサーチフェロー (00885204)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 遠隔心理療法 / 認知行動療法 / ICT / 不眠症 / デジタルデバイド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は情報通信技術(Information and Communication Technology:ICT)を用いた不眠症患者に対する遠隔認知行動療法の基盤整備を行うことである。研究1、2として、ICTを用いた心理療法に関する4尺度の日本語版作成を行った。これらの尺度には、ICTを用いたメンタルヘルスサービスに対する態度やスキルを評価する尺度、遠隔での認知行動療法におけるセラピストの行動を評価する尺度が含まれている。具体的な手続きとして、臨床心理学に関する研究者2名、言語(英語)の専門家1名で日本語に翻訳したのち、翻訳サービスによってバックトランスレーションを行った。さらに、バックトランスレーションを行った尺度と原版の尺度の間に意味の相違がないかについて、原著者に確認を依頼し、原著者のコメントをもとに日本語版の修正を行った。現在、妥当性検証のための調査を計画中である。 研究3では、ICTを用いた心理療法に対する態度を明らかにすることを目的とし、インタビュー調査を実施する。研究3では、高齢者に多い不眠症患者、医療従事者を対象にしたインタビュー調査を予定しており、2020年度は遠隔心理療法や実装科学に関する文献をもとにインタビューガイドの作成を行った。 また、ICTを用いた遠隔での認知行動療法の適用が難しいケースやその支援についての展望論文を執筆した。展望論文では、遠隔認知行動療法の役割と限界を認識したうえで、「誰一人取り残さない」よう心理的援助を提供することの重要性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、研究1および2の尺度の日本語版作成を行った。研究3については、インタビュー内容の検討、調査実施医療機関との打ち合わせを行った。さらに、本研究課題に関する展望論文を執筆し、『認知行動療法研究』に投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は研究1、2で作成した尺度の妥当性検証、研究3のインタビュー調査を実施する。研究1、2ともに調査実施の承諾を得ている睡眠外来において実施する予定である。研究1、2の妥当性検証では、まず睡眠専門医や不眠症の認知行動療法の専門家などによる内容的妥当性の確認を行う。その後、睡眠外来を受診した患者に対して、調査を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の感染予防の観点から調査実施医療機関との打ち合わせを遠隔で行ったため、旅費が生じなかった。また、今年度は計画していた人件費の支出が少なかったため、次年度使用額が生じた。今後妥当性検証のための質問紙調査、インタビュー調査を実施するため、次年度に人件費として使用する予定である。
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Research Products
(1 results)