2021 Fiscal Year Annual Research Report
自然言語処理技術を応用した日常的な感情体験に寄与するイベントの抽出手法の検討
Project/Area Number |
20K22283
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
村中 誠司 大阪大学, 人間科学研究科, 助教 (90878349)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 自然言語処理 / トピックモデル / 情動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
成果について3点報告する。第1にテキスト解析の方法論として、構造的トピックモデルを論文アブストラクトを対象に実施して遠隔心理支援の研究動向を確認する研究を実施した。その結果から、モバイルアプリに関するトピックの出現確率がここ10年で急速に伸びていること、今後予防的な介入が注目されやすくなる可能性があることが示された。これらの成果を研究論文として『認知行動療法研究』第47巻で公表した。第2に、場面想定法により、感情の揺らぎが起こりやすい場面を想起してもらった上で、イメージしたことを記述するよう求め、その記述内容を解析した研究を行なった。ここでは、場面想定法によりトピックが限られてしまうことから、別の方法論として、word2vecにより単語の意味を数値化した上でk-meansクラスタリングを行ない、そのクラスタの出現分布を特徴量とした解析を実施した。その結果、【言い合い】についての記述はネガティブ感情を高めることが示された。これらの成果を日本心理学会第85回大会でのポスター発表および日本健康心理学会でのシンポジウムでの話題提供で発表した。最後に、毎日の日記をトピックモデルで解析し、日常的な感情体験やその制御と日記での記述内容との関連を明らかにする研究を行なった。ここでは、トピック数を階層ディリクレ過程 (Hierarchical Dirichlet Process: HDP)で推定の上、トピック間の相関を考慮した相関トピックモデル (Correlated Topic Model: CTMを実施した。その結果、他者批判しやすい者は日記の内容の内、余暇トピックの出現頻度が高まりやすく、より適応的な情動制御方略であるポジティブな再評価を下げる可能性が示された。本研究の成果は、計画時の課題であった、患者の報告内容を直接解析して感情体験を結びつけられた1例として意義がある。
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Research Products
(6 results)