2020 Fiscal Year Research-status Report
Verification of unknown electron bifurcation: Development of new gene resources
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20K22559
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡邉 友浩 北海道大学, 低温科学研究所, 助教 (80731968)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 電子バイフリケーション / ヘテロジスルフィド還元酵素 / フラビン / 硫黄酸化菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
フラビン依存型の電子バイフリケーション反応は、電子対の一方の電子を高エネルギー状態にする反応である。本反応を触媒する酵素の1種にヘテロジスルフィド還元酵素(Hdr)複合体がある。本酵素は複雑な配列多様性を持つのだが、その触媒反応が解明されているものはメタン生成古細菌由来のHdrのみにとどまっている。本研究では、電子バイフリケーション反応の多様性を新たに開拓するために、ある種の硫黄酸化菌ゲノムから見出された機能未知Hdr複合体を研究する。このHdrには電子バイフリケーション反応に関与すると考えられているドメインの一部が保存されていない。本酵素をコードする遺伝子のオペロン構造から、その触媒反応にリポ酸が関与すると考えた。この反応仮説に基づき、機能未知のHdr複合体の精製と酵素反応の検証を行う。先ず、標的酵素複合体を合成する硫黄酸化菌の大量培養条件を最適化した。大量培養にはジャーファーメンターを用いた。特に、前培養に用いる緩衝液の種類と濃度、段階的な培養スケールの増加方法、ファーメンター培養時のガス供給量を最適化することで、1日、1リットル当たり約2グラムの細胞を得るまでに至った。標的酵素複合体の触媒反応を検証するためには、2種類の硫黄リレータンパク質、リポ酸結合タンパク質、リポ酸結合タンパク質とリポ酸を結合する反応を触媒する酵素が必要である。これらのタンパク質をコードする遺伝子を大腸菌へ形質転換し、合成した標的タンパク質をアフィニティークロマトグラフィーで精製することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に達成した「標的酵素複合体を合成する硫黄酸化菌の大量培養」と「酵素反応基質となるタンパク質の合成と精製」は、本研究計画のボトルネックであった。いずれについても、今後の研究計画を円滑に進める上で十分な効率で実現できる状態に至った。よって、おおむね順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
硫黄酸化菌の細胞粗酵素液を用いて酵素活性を検証する。同時に、細胞粗酵素液を各種クロマトグラフィーで分画し、標的酵素複合体の精製を目指す。
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Causes of Carryover |
年度末に少額助成金の適切な使途がなかった。翌年度分の助成金と合わせて、本プロジェクトに必要な実験試薬を購入する予定である。
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Research Products
(1 results)