2023 Fiscal Year Research-status Report
持続的な水配分システムに向けた行政-農家間の協働を見出す意思決定支援ツールの開発
Project/Area Number |
20K22602
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Research Institution | Japan International Research Center for Agricultural Sciences |
Principal Investigator |
大倉 芙美 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 農村開発領域, 任期付研究員 (10880297)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2025-03-31
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Keywords | 水田灌漑 / かんがい排水 / 水配分 / 水利組合 / スバック |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、水資源利用のメカニズムを明らかにするために、観測と聞き取り調査を組み合わせた手法を用いている。2023年度に、対象灌漑地区の幹線・支線用水路に水位計を11本設置し流量観測を開始しているが、地区内の過去10年程度の水利用を明らかにするために、研究協力者と共にSentinel-1の衛星データを用いた取水時期の判定を行っている。過去10年間の取水時期の変化を降雨の変化と合わせて分析することで、取水時期の変化の要因が水文的か社会的なものなのか推測できるのではと期待している。 また、渡航禁止となった2020年から、国内でのモニタリングを補助的に実施している。2020~2021年の4~8月の灌漑期に行った観測をもとに、低平地水田における水収支の結果をまとめ2024年の1月に投稿した。現在は1回目の修正を終えたところである。本投稿論文では、排水路に設置した水位ロガーの水位データと、月に1~2回行った流量観測を元に排水量を求めた。また、設置済みの気象観測装置を使い気象データを収集し、蒸発散量を求めた。これらの手法を活用し、バリ島での研究においても灌漑用水量と蒸発散量を求める予定である。 本研究では、エージェントベースモデルと進化的アルゴリズムを適用し、対象灌漑地区における灌漑目的を最大化または最小化する水配分計画の探索を計画していた。国内のデータは、2020~2023年の3年分のデータが蓄積されている。そこで、灌漑地区の水利用効率やポンプ運転時間などを目的関数とし、目的関数の最大化または最小化する水配分計画を明らかにするために、研究協力者とモデル化について打ち合わせを開始した。 2023年度は渡航ができなかったが、これまでの調査結果をまとめ、8月に国内の2年間分の水収支の結果を、9月にはバリ島でのモニタリングの結果と衛星データの分析結果を国内学会で発表できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
諸事情により2023年は渡航ができず、観測や聞き取り調査が行えなかったが、国内での観測を継続して行い、2年分のデータを活用して論文を作成し、投稿した。
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Strategy for Future Research Activity |
バリ島での研究では、用水路での流量観測と衛星データの分析を元に、過去の水利用、とくに取水時期を整理する。また、聞き取り調査の結果も踏まえ、取水時期が変化する要因や水不足時に流域内の5つの水利組合が取水時期を調整する方法を明らかにする。 国内の事例については、エージェントベースモデルと進化的アルゴリズムを組み合わせることで、水利用効率が最大となる、またはポンプ運転時間が最小となる、といったような水配分計画案を明らかにする。
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Causes of Carryover |
2023年5月に足を骨折したため、渡航ができなくなった。2024年度はバリ島での現地調査に利用する。
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Research Products
(4 results)