2020 Fiscal Year Research-status Report
中枢神経系マクロファージの機能解明を目的とした新規研究基盤の創出
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20K22687
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
増田 隆博 九州大学, 薬学研究院, 助教 (80615287)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | ミクログリア / 脳 / 脳境界マクロファージ / Hexb |
Outline of Annual Research Achievements |
脳および脊髄を含む中枢神経系組織には、実質に存在するミクログリア細胞に加え、境界領域に脳境界マクロファージ(CAMs)が存在し、それらを総称して中枢神経系マクロファージを呼ぶ。しかし、現状存在するミクログリア特異的な遺伝子改変マウスは、実は同時にCAMsも標的にしているため、いまだミクログリアおよびCAMsの機能および生体維持における役割の解明には至っていない。 本研究では、まずシングルセルトランスクリプトーム解析技術を用いたミクログリアおよびCAMsの遺伝子発現プロファイルの包括的比較解析を行った。その結果、数種類のミクログリア特定的発現遺伝子を同定することに成功し、その中にはHexb遺伝子が含まれていた。そこで次に、ミクログリア特異的な細胞機能操作を目的として、Hexb遺伝子に着目した遺伝子改変マウスを2種類(HexbtdTomato, HexbCreERT)作成した。HexbtdTomatoマウスに関しては、その脳組織サンプルを用いて免疫染色法およびフローサイトメトリー解析を行ったところ、蛍光タンパク質tdTomatoがミクログリア細胞特異的に発現していることが確認できた。また、二光子レーザー顕微鏡を用いたin vivoイメージング解析においても非常に有用なツールであることを確かめた。一方、HexbCreERTマウスにおいても、ミクログリア細胞において非常に特異性の強いCre活性を誘導することができた。今後は、作成したHexbCreERTマウスを他の遺伝子floxマウス等と掛け合わせることでミクログリア特異的遺伝子欠損マウスを作成し、ミクログリアの形態・遺伝子発現変化等の細胞機能を詳細に解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シングルセルトランスクリプトーム解析技術を用いて、ミクログリア細胞に発現する特異的遺伝子の同定に成功し、さらにHexb遺伝子に着目した新規のミクログリア特異的遺伝子改変マウスを作成にも既に成功していることから、計画通り研究を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画からさらに発展し、ミクログリアの存在意義や中枢神経系疾患発症メカニズムの解明に向け、作成した新規遺伝子改変マウスを用いたミクログリアの包括的な機能解析を進める。
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Causes of Carryover |
物品の購入代金が当初予定よりも安価であったためこと、またCovid-19の影響で試薬や実験機器の納品の延期が起きたため。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Novel Hexb-based tools for studying microglia in the CNS2020
Author(s)
Masuda Takahiro、Amann Lukas、Sankowski Roman、Staszewski Ori、Lenz Maximilian、d´Errico Paolo、Snaidero Nicolas、Costa Jord?o Marta Joana、B?ttcher Chotima、Kierdorf Katrin、Jung Steffen、Priller Josef、Misgeld Thomas、Vlachos Andreas、Meyer-Luehmann Melanie、Knobeloch Klaus-Peter、Prinz Marco
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Journal Title
Nature Immunology
Volume: 21
Pages: 802~815
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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