2021 Fiscal Year Annual Research Report
内在性ウイルスエンベロープを介したエクソソーム輸送機構に基づく胎盤への薬物送達
Project/Area Number |
20K22708
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
稲垣 舞 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 助教 (90878274)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 胎盤 / 栄養膜細胞 / 内在性レトロウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、胎盤栄養膜細胞への高分子薬物送達を目指し、胎盤由来エクソソーム上に発現するタンパク質と胎盤栄養膜細胞に発現する膜タンパク質との相互作用のメカニズムを明らかにすることを目的とした。網羅的プロテオミクス解析の結果、フォルスコリン処理を行うことで細胞膜融合を誘導した胎盤栄養膜細胞では、細胞膜融合因子である内在性レトロウイルスエンベロープタンパク質の発現が亢進し、内在性レトロウイルス由来エンベロープタンパク質は、細胞膜画分と比較して、エクソソーム画分において濃縮的に発現していることを明らかにした。さらに、フォルスコリンを添加することで、膜融合を誘導した胎盤細胞から単離したエクソソームは、非添加胎盤細胞から単離したエクソソームと比較して、胎盤栄養膜細胞への取り込み活性が有意に高いことが示された。これらの結果から、胎盤由来エクソソームの胎盤栄養膜細胞への内在化には、エクソソーム上の内在性レトロウイルス由来エンベロープタンパク質が関与する可能性が示された。そこで、胎盤栄養膜細胞上の受容体タンパク質としてCD98及びMFSDに着目し、各膜タンパク質のエクソソーム取り込みにおける寄与を検討した。その結果、CD98 siRNAノックダウン処理した胎盤栄養膜細胞と非処理細胞の間で、有意な取込み変動は示されず、CD98の寄与は低いことが示唆された。一方で、2種類のMFSDファミリー膜タンパク質については、取り込みが有意に変動することが示された。以上から、胎盤栄養膜細胞におけるエクソソーム輸送経路を同定した。
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Research Products
(2 results)