2020 Fiscal Year Research-status Report
マラリア原虫ガメトサイト期に赤血球内に形成される膜構造物の生理機能
Project/Area Number |
20K22767
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
宮崎 真也 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (40637435)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | マラリア原虫 / ガメトサイト / 赤血球 / 膜構造 / タンパク質輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、熱帯熱マラリア原虫ガメトサイトが赤血球の細胞質内に新たに形成する膜構造物の生理的意義を解明することを目的としている。熱帯熱マラリア原虫は、ヒト赤血球内でガメトサイトへと成熟分化することにより、蚊に感染する能力を得る。このガメトサイト分化の過程で、マラリア原虫は赤血球の細胞質内に新たな膜構造物を作り出すが、その生理的意義はよくわかっていない。 本研究では、これらの膜構造物のガメトサイト分化における役割を明らかにすることを試みた。本研究において、研究代表者は熱帯熱マラリア原虫がガメトサイトを効率よく形成する条件を確認した。続いて、熱帯熱マラリア原虫ガメトサイトが感染した赤血球の中における膜構造を電子顕微鏡により観察した。その結果、感染赤血球の中に、原虫細胞とは異なる特徴的な膜構造が存在することが分かった。この後に、熱帯熱マラリア原虫の遺伝子改変によるノックダウン実験系の構築に着手した。最初に、ステージ特異的なノックダウン系に用いるベーシックプラスミドを構築し、ノックダウン系がワークすることをコントロールとなる遺伝子を対象にして確認した。これらの知見を基盤として、目的のノックダウン原虫を作出するためのプラスミドをクローニングし、一部のプラスミドを熱帯熱マラリア原虫にトランスフェクションした。来年度は、本研究で対象とするガメトサイト期の輸送タンパク質の遺伝子改変原虫を作出し、ノックダウン時における表現型を解析する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り、ガメトサイト期に形成される膜構造を観察することができた。さらに、本研究で採用したノックダウンの実験系がワークすることを確認した。ガメトサイト期において赤血球へと輸送されるタンパク質のノックダウン原虫の作出も進行中である。以上の進捗から、おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り、研究を推進する。今後は、ガメトサイト期における輸送タンパク質のノックダウン原虫の作出を完了する。ノックダウン時の表現型や、赤血球内の膜構造の異常を観察する予定である。
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