2020 Fiscal Year Research-status Report
帝王切開がアレルギー感受性を増加させるメカニズムの解明
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20K22788
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 恭央 慶應義塾大学, 薬学部(芝共立), 特任助教 (50881207)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 帝王切開 / 腸内細菌 / アレルギー |
Outline of Annual Research Achievements |
ここ数十年で我が国においてアレルギー疾患の患者数は急速に増加している。その一因として疑われているのが、帝王切開の増加である。近年日本では新生児のおよそ20%が帝王切開により出生している。多数のコホート研究により、帝王切開で出生した胎児はアレルギー喘息などのアレルギー疾患に高い感受性を示すことが示されている。しかし、帝王切開がアレルギー疾患に対する感受性を増加させる原因は不明である。 帝王切開で出生した胎児の腸内細菌は新生児期に腸内細菌叢のバランス異常を起こすことが報告されている。これは、自然分娩では出生時に母体の膣内細菌が新生児の腸内に定着するが、帝王切開ではこのプロセスが消失することによると考えられる。腸内細菌は宿主の免疫系の成熟やアレルギー疾患に対する感受性に決定的な影響を及ぼすことが明らかになっている。さらに近年の研究により、初期発育段階の腸内細菌は宿主の免疫系に長期的な影響を及ぼすことが示唆されている。以上の背景から応募者は、帝王切開に伴う出生直後の腸内細菌のバランス異常が免疫系の成熟不全を、ひいてはアレルギー疾患に対する感受性の増加を招いているのではないかと考えた。 上記の仮説を検証するために、応募者は帝王切開モデルマウスを作成した。さらに、帝王切開が乳仔期から成獣期のマウスの粘膜免疫系に与える影響を明らかにした。現在はさらにアレルギー疾患感受性への影響や、上述の粘膜免疫系と腸内細菌の関連を調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの研究から、帝王切開モデルマウスを作成し、帝王切開が免疫系に与える影響を解析することが可能になった。さらに、細菌数が少ない新生仔期のマウスの腸内細菌を解析するためのパイプラインの構築に成功し、帝王切開が新生仔期の腸内細菌に与える影響を解析することが可能になった。
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Strategy for Future Research Activity |
帝王切開がアレルギー感受性に与える影響を調べる。さらに、帝王切開による免疫系成熟への影響とアレルギー感受性の関連を調べる。また、そうした免疫系への影響と腸内細菌叢の関連を、無菌マウスや抗生物質を用いて明らかにする。腸内細菌叢の関与が示された場合、アレルギー感受性に影響する腸内細菌叢を特定する。
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Causes of Carryover |
学会への参加を予定していたが、コロナウイルスの流行により開催が中止になった。また、大学への立ち入り制限により実験に支障が出たため、次年度使用額が生じた。2021年度の物品費として使用する予定である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Diet diurnally regulates SI microbiome-epithelial-immune homeostasis and enteritis2020
Author(s)
Tuganbaev T, Mor U, Bashiardes S, Liwinski T, Nobs SP, Leshem A, Dori-Bachash M, Pinker EY, Ratiner K, Adlung L, Federici S, Kleimeyer C, Moresi C, Yamada T, Cohen Y, Massalha H, Massasa E, Kuperman Y, Koni PA, Harmelin A, Gao N, Itzkovitz S, Honda K, Shapiro H, Elinav E
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Journal Title
Cell
Volume: 182
Pages: 1441-1459
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Microbiota-derived butyrate limits the autoimmune response by promoting the differentiation of follicular regulatory T cells2020
Author(s)
Takahashi D, Hoshina N, Kabumoto Y, Maeda Y, Suzuki A, Tanabe H, Isobe J, Yamada T, Muroi K, Yanagisawa Y, Nakamura A, Fujimura Y, Saeki A, Ueda M, Matsumoto R, Asaoka H, Clarke JM, Harada Y, Umemoto E, Komatsu N, Okada T, Takayanagi H, Takeda K, Tomura M, Hase K
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Journal Title
EBioMedicine
Volume: 58
Pages: 102913
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research