2021 Fiscal Year Research-status Report
卵巣癌における三次リンパ組織(TLS)の人工的誘導のための基礎的検討
Project/Area Number |
20K22810
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浮田 真沙世 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (50725067)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2023-03-31
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Keywords | 三次リンパ組織 / 腫瘍浸潤リンパ球 / 卵巣癌 / 腫瘍微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
卵巣癌を含む様々な癌腫において腫瘍内に浸潤するCD8陽性T細胞は予後を改善することが報告されてきた。近年様々な癌腫において、三次リンパ組織(TLS)の存在が予後と関連することが報告され注目されている。これまで腫瘍関連B細胞については、予後不良因子との報告も散見されるが、TLSと関連したB細胞の腫瘍内浸潤は、免疫チェックポイント阻害剤の奏功にも関連することが報告されている。 これまで、卵巣癌組織におけるTLSの存在は、CD8陽性T細胞のみならず、B細胞系統を含む様々な腫瘍浸潤リンパ球を増やすことを明らかにした。一方TLSの存在のみでは、卵巣癌の予後を改善しないことが分かった。しかしながら、2系統以上のリンパ球の浸潤は卵巣癌の予後を改善し、2系統以上のリンパ球の腫瘍内浸潤を可能にしているのがTLSの存在であることが分かった。また、TLSの発生に関わる重要なケモカインの一つであるCXCL13の遺伝子発現は、TLSの有無と相関するのみならず、腫瘍内の様々な腫瘍浸潤リンパ球数と相関し、卵巣癌の予後因子となることがわった。 マウス卵巣癌腹膜播種モデルにおいて、マウスリコンビナントCXCL13を腹腔内投与したところ、大網腫瘍内にKi-67 陽性のB細胞を中心としたTLS様構造を誘導でき、担癌マウスの生存期間を免疫を介して延長させることを見出した。CXCL13もしくはTLSの誘導は、腫瘍微小環境のリンパ球浸潤状態を変えうる卵巣癌のあたらな治療標的となる可能性を示唆する所見と考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定している研究は順調に進んでおり、論文投稿し、現在revisionの段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
腫瘍内にTLSの初期形成においてCD4陽性T細胞が分泌するCXCL13が重要であることが分かった。一方で、TLSが成熟するにつれ、CXCL13の分泌源がシフトする現象をとらえている。また、腫瘍内にはCXCL13を分泌するCD8陽性T細胞も存在している。In vitroにおいて、CD4陽性T細胞とCD8陽性T細胞では、CXCL13を分泌を促進する環境が異なることが捉えられており、更なる探索を行っていく。
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Causes of Carryover |
論文投稿にあたって、Major revisionにより追加実験が生じたため。
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