2021 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄炎病変におけるCAPEの炎症制御機構とVEGF産生機構の解明
Project/Area Number |
20K23084
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
蔵本 瞳 徳島大学, 病院, 助教 (70876060)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 歯髄炎 / CAPE / 抗炎症作用 / VEGF / 歯髄保護療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
歯髄炎は、う蝕に継発する感染症であり、その発症には自然免疫が関与すると考えられている。歯髄組織の感染が遷延し、不可逆性の病変へ進展すると歯髄除去療法の適応となるが、歯根破折のリスクが上昇するなどその予後は必ずしも良好ではない。そのため、歯髄保存の機運が高まっており、歯髄の積極的保存を可能にする新規歯髄保護療法の開発が望まれている。近年、プロポリスの生理活性物質であるCaffeic acid phenethyl ester (CAPE)には、抗炎症作用や修復象牙質の形成に関与するVascular endothelial growth factor (VEGF)誘導作用が報告されている。しかしながら、CAPEの歯髄組織に対する作用、さらにはCAPEとVEGFを関連付けた報告は少なく、不明な点が多い。本研究では、CAPEを応用した新規歯髄保護療法の開発を目指し、ヒト歯髄細胞を用いて歯髄炎の発症や増悪に関与するサイトカインならびにケモカイン産生や、VEGF産生に及ぼすCAPEの影響について解明することとした。 ヒト歯髄細胞に細菌関連因子であるPam3CSK4等の自然免疫関連受容体に特異的なリガンドや、炎症性サイトカインであるTNF-α存在下でCAPEを作用させたとき、CXCL10の産生を抑制することが明らかとなった。また、ヒト歯髄細胞にCAPE処理を行ったところ、VEGFを有意に産生誘導することを確認した。加えてCAPEは、ヒト歯髄細胞におけるp38 MAPK、ERK1/2およびSAP/JNKのリン酸化を誘導させることが明らかとなった。このことから、CAPEを歯髄炎治療に応用することで、過剰な炎症反応を抑制し、組織修復を誘導させる作用が期待され、新規歯髄保護療法開発につながっていく可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)