2020 Fiscal Year Research-status Report
炭酸基量を制御することによるランダム型多孔質炭酸アパタイトの骨再生医療への展開
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20K23112
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
秋田 和也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(歯学域), 助教 (70876028)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 炭酸アパタイト / 炭酸含有量 / 骨再生 / スキャフォールド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生体吸収性および骨置換性を有する多孔質炭酸アパタイトと骨髄幹細胞を複合化することにより、新規の骨再生医療用スキャフォールドの開発を目的とする。 まず開発した多孔質炭酸アパタイト顆粒の作製条件を変えることで、炭酸含有量の制御を試みた。炭酸アパタイトは硫酸カルシウムを炭酸溶液に浸漬し炭酸カルシウムに、炭酸カルシウムをリン酸溶液に浸漬し、炭酸アパタイトに組成変換する。炭酸化の温度を4、20、40℃と変化させて組成変換を行い、元素分析(CHN分析)にて炭酸含有量を測定したところ、温度が高いほど炭酸含有量は多かった。しかし、X線回折装置を用いて結晶性を測定したところ、温度が高いほど結晶性も高くなるため、リン酸化を効率よく行うことが困難であると判断し、炭酸化の温度を4℃に固定し、リン酸化の温度条件を調整した。リン酸化の温度を60、80、90、100、110、120、130、140℃と変化させて組成変換を行ったところ、60から90℃では炭酸カルシウムの残存を認め、100から140℃では炭酸アパタイトへの変換変換を確認した。CHN分析により温度が高いほど炭酸含有量は高くなり、X線回折装置にて結晶性が高くなることを確認した。したがって、リン酸化温度を調整することで、異なる炭酸含有量を有する多孔質炭酸アパタイト顆粒の作製に成功した。 さらに多孔質炭酸アパタイト顆粒上でラット骨髄幹細胞の培養を行った。Fischer344系ラットの大腿骨から骨髄を採取し、骨形成誘導培地上で培養し、経時的にArizarin Red S染色を行い、石灰化の状態を確認した。次に培養した骨髄幹細胞を多孔質炭酸アパタイト顆粒上に播種し24時間培養を行ったところ、緻密顆粒郡と比較して有意な細胞増殖を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つである炭酸アパタイト顆粒の炭酸含有量の調整に成功した。作製した硫酸カルシウム顆粒を4℃の炭酸溶液に浸漬し炭酸カルシウムに組成変換させ、次に異なる温度のリン酸溶液に浸漬することで、異なる炭酸含有量を有する炭酸アパタイトへの組成変換に成功した。 本結果をもとに作製した試料を実験動物に埋入し、吸収性や骨置換性に関して生体内での挙動を検証する。また、多孔質炭酸アパタイト顆粒上でラット骨髄幹細胞の培養に成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
作製に成功した異なる炭酸含有量を有する多孔質炭酸アパタイト顆粒を用いて動物実験を行い、骨形成と吸収速度の調節が可能か検討する。作製した試料を日本白色ウサギの大腿骨に埋植し、埋植後4、8、16週後に摘出し、中性緩衝ホルマリンで固定し、非脱灰切片を作製し、組織学的に評価する。 さらに多孔質炭酸アパタイト顆粒に骨髄幹細胞を注入した複合体を開発し、ラット背部皮下に移植して異所性の骨再生能を評価する。多孔質炭酸アパタイト顆粒上にFischer344系ラットの大腿骨から採取した骨髄幹細胞を播種し、骨形成培地上で培養を行い複合体を作製する。作製した複合体をラット背部皮下に移植し、移植後2、4、8週後に周囲組織を含めて摘出し、中性緩衝ホルマリンで固定し、非脱灰切片を作製し、組織学的に評価する。
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Causes of Carryover |
Covid-19の影響により学会出席や研究打ち合わせとその滞在費が少くなったため。 また、炭酸含有量の制御に時間がかかったため、動物実験を行えなかったため、次年度に使用額が生じた。翌年度分として請求した研究費と合わせて動物実験に使用する予定である。
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