2021 Fiscal Year Annual Research Report
血液中遺伝子変異情報に基づく相同組み換え欠損の新規モデル開発
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20K23183
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Research Institution | National Cancer Center Japan |
Principal Investigator |
渡辺 智子 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 遺伝カウンセラー (10773187)
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Project Period (FY) |
2020-09-11 – 2022-03-31
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Keywords | 相同組換え欠損 / 乳がん / 遺伝医療 |
Outline of Annual Research Achievements |
乳がんのPARP阻害剤の適応は胚細胞系列のBRCA1/2遺伝子変異症例に限定されており、体細胞レベルの相同組換え欠損(Homologous recombination deficiency: HRD)が着目される。従来のHRDスコア算出は腫瘍組織の網羅的遺伝子解析が必要であるが、申請者らはこれまでに乳がんにおけるHRDを4つの因子:遺伝子変異・病理学的特徴の組み合わせ(①BRCA1/2遺伝子変異、②体細胞TP53遺伝子変異、③サブタイプ、④グレード)で推定できること示してきた。そこで、体細胞TP53遺伝子変異を血液中Cell-free DNA(cfDNA)で測定できれば、遺伝子変異情報(①②)は全て血液中のゲノムDNAもしくはcfDNAにて測定可能と考えた。本研究ではcfDNA解析にて血漿中の腫瘍由来遺伝子変異情報を取得し、乳がん症例において腫瘍組織とcfDNAのTP53変異の検出率を比較した。5例は腫瘍組織でTP53変異を認めていた。cfDNA解析の結果、1例でTP53遺伝子に体細胞変異を認めた。このcfDNAのTP53変異は腫瘍組織のTP53変異と一致していた。これに加えて、2例は検出限界以下で腫瘍組織と同一のTP53変異をcfDNAで認めた。よって、腫瘍組織でTP53変異を認めた5例のうち3例で同一箇所のTP53変異をcfDNA解析で検出した。したがって、腫瘍組織とcfDNAの遺伝子解析のTP53変異検出の一致率は20~60%であった。今回の結果より、現時点では乳がんのHRD予測にcfDNA解析を用いることは難しく、今後の方策を検討し直す必要があると考えた。cfDNA解析に加えて、遺伝医療における心理社会的影響に関する質問紙調査については使用する尺度を選定した。現在は質問紙調査実施に向けて準備を進めている。
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