2023 Fiscal Year Research-status Report
三角縁神獣鏡製作地同定へ向けて ー華北東部系鏡群の調査を中心にー
Project/Area Number |
20KK0010
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Research Institution | Kashihara Archaeological Institute , Nara prefecture |
Principal Investigator |
清水 康二 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 指導研究員 (90250381)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 哲也 九州大学, 総合研究博物館, 准教授 (50315115)
南 健太郎 京都橘大学, 文学部, 准教授 (60610110)
清水 克朗 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (70235646)
宇野 隆志 奈良県立橿原考古学研究所, 調査部調査課, 主任研究員 (80739144)
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Project Period (FY) |
2020-10-27 – 2026-03-31
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Keywords | 三角縁神獣鏡 / 銅鏡 / 山東省 / 銅鏡製作技術 / 鑑笵再利用技法 / 同笵鏡 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年9月には山東省文物考古研究院の協力を得て、山東省文物考古研究院所蔵鏡約40面、滕州漢画像石館所蔵鏡役20面の資料調査をおこなった。調査方法は銅鏡の高精度写真撮影、3Dスキャナーによる計測、厚さ計測、重量計測および観察結果の文字記録である。調査期間は2023年9月17日~10月1日である。2024年3月21日~28日まで山東省文物考古研究院所蔵鏡の追加調査と棗庄市山亭区で山東省文物考古研究院が発掘調査をおこなった遺跡の出土鏡を約20面調査した。追加調査は前回写真撮影ができなかったものの撮影と3D計測が不調であったものに関しての再計測である。山亭区出土品については、観察と文字記録、写真撮影と3D計測をおこなった。 さらに3月の調査では、古代に操業していたとと考えられる山東省莱蕪市の2か所の鉱山遺跡の踏査をおこなった。ここでは鉱石のほか、銅製錬をおこなったと推定される場所ではスラグが地表に確認できた。遺跡踏査に当たっては、山東省文物考古研究院のほかに、山東大学の研究者の協力を得た。 撮影済みの写真については、日本において整理作業を進行中で、整理を終了したデータについてはコピーを山東省文物考古研究院に渡している。2023年度の資料調査でおこなった3D計測データは、画像化を継続しておこなっており、2024年度中には終了する予定である。2024年度の調査計画については、2023年3月の訪中時に、山東省文物考古研究院の担当者と綿密に打合せをおこなって、調査計画を具体的に立案した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始から2022年度までは、中国での現地資料調査ができなかったため、大幅に研究の進捗が遅れていた。現在も研究の遅れを取り戻せていない。2023年度からは現地調査が可能になったが、コロナ以前と違って渡航手続きが煩雑なため、十分な資料調査期間が確保できなかったから。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は最低2回の山東省での資料調査をおこない、可能ならば3回の調査を目標とする。2024年度の8月、12月、3月を予定している。写真撮影資料の整理と3D計測データを画像化する。2021ー2022年度に整理作業をおこなっていた前漢代の銅鏡と鏡笵にかかわる報告書を出版する。さらにこれまで調査をおこなってきた銅鏡のうち、三角縁神獣鏡と関連の深い鏡を選び鉛同位体比分析をおこなう。可能であれば、山東省内の複数の鉱山遺跡において採取した鉱石の鉛同位体比分析をあわせておこない、山東省内出土の銅鏡と鉱山遺跡との関係を探る。銅鏡、鉱石ともに中国外への持ち出しは禁止されているので、中国国内で鉛同位体比分析をおこなう予定である。 2025年度には可能であれば4回の現地調査を目指し、山東省以外の江蘇省での資料調査を山東省文物考古研究院に依頼しており、その実現を目指したい。最終的には資料調査をまとめた研究報告書を中国国内で出版予定である。
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Causes of Carryover |
研究開始年度である2020年度から2022年度までがコロナ禍により、中国での資料調査ができず、共同研究協定を山東省文物考古研究院と結ぶことができたのが2023年の初夏であった。したがって、2023年度調査も計画よりは小規模なものになり、全体的に研究の進捗がやや遅れているから。
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Research Products
(4 results)